
2. 原因・リスク要因
胃がんの発生にはいくつかの原因やリスク要因があります。特に大きな原因とされているのが、ピロリ菌の感染です。ピロリ菌は胃の中に住みつく細菌で、長期間感染していると胃の粘膜に炎症を起こし、がんのリスクを高めるとされています。
そのほかにも次のような要因があります。
- 塩分の多い食事や加工食品のとりすぎ
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 家族に胃がんの人がいる場合
これらが重なることで、発症のリスクが高くなります。
3. 症状
胃がんは初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多いです。そのため、気づかないまま進行することがあります。
進行すると、次のような症状が現れることがあります。
- 胃の痛みや不快感
- 食欲不振
- 体重の減少
- 吐き気や嘔吐
- 吐血や黒い便
ただし、これらの症状は胃炎などほかの病気でも見られるため、気になる場合は早めの受診が大切です。
4. 検査・診断
胃がんの診断には、主に次のような検査が行われます。
- 内視鏡検査(胃カメラ)
胃の中を直接観察し、異常がないか調べます。
- 生検(組織検査)
内視鏡で採取した組織を詳しく調べ、がんかどうかを確認します。
- バリウム検査
胃の形や動きをX線で確認します。
- CT検査、MRI検査、PET検査など
胃の周囲への伸展状況や周囲のリンパ節、または別の臓器などに転移がないかどうか確認します。
- 腹腔鏡検査
お腹の中にがんが広がっている(腹膜播種)可能性があるときに、カメラでお腹の中を確認することがあります。
これらの検査結果をもとに、がんの進行度や治療方針が決められます。
5. 治療方法
胃がんの治療は、がんの進行度に応じて選択します。がんの性質や患者の状態に応じて適切な治療方法を検討します。
5-1.ステージ
がんのステージはI期(ステージ1)からIV期(ステージ4)まであり、次の3つの要素に基づいて決められます。
Tカテゴリー:原発巣の深達度(がんの深さ)(図2)
Nカテゴリー:領域リンパ節(胃の周囲のリンパ節)への転移の有無
Mカテゴリー:遠隔転移(胃以外の臓器への転移や遠く離れたリンパ節への転移)の有無


5-2.主な治療方法
- 内視鏡治療
がんが粘膜の表層にとどまっている場合に行われます。がんを含めた胃の粘膜を内視鏡を使って切除する方法です。(図4)全身麻酔が必要なく、胃も残るため体に対する負担が少ない治療法です。
切除した病変を病理検査(顕微鏡検査)で確認し、リンパ節転移の可能性が極めて低い場合には胃の切除は必要ありません。がんが取り切れなかった場合や、がんの深さによってリンパ節転移を起こす可能性がある場合は追加治療として、外科的な手術が必要になります。

図4 胃がんの内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD) - 手術
遠隔転移がなく、内視鏡治療では切除できない病変の場合は手術による治療を行います。がんを含む胃の一部あるいはすべてを転移が起こる可能性がある周囲のリンパ節と同時に切除します。切除した後、食べ物の通り道を作り直す再建手術を行います。
おなかを大きく切る開腹手術と、小さい穴と小さな傷で手術を行う腹腔鏡手術やロボット支援手術があります(図5)。

図5 ロボット手術の様子(当院) - 薬物療法
遠隔転移がある場合など手術によりがんを取り切ることが難しい場合には薬物療法を行います。また、手術後に病理検査の結果によっては再発を予防するために術後補助化学療法として薬物療法を行うことがあります。薬物療法で使われる薬には、抗がん剤(殺細胞性抗がん薬)、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬があります。これらの薬剤を癌細胞の表面の状態や病状に応じて選択します。 - 緩和治療(緩和ケア/支持療法)
診断時から痛みや吐き気、腹部症状、精神的なつらさを和らげる治療です。症状に応じて薬物を用いた疼痛管理や放射線治療、バイパス手術やステント留置術など症状の緩和を行います。精神的なつらさに対しては心理的ケアや相談など(スピリチュアルケア)を行います。
当院では胃がんの診断、内視鏡治療、手術、緩和ケアすべて対応可能です。胃がんについてご心配がありましたら、当院消化器病センターまでご相談ください。
参考文献・情報源
- 国立がん研究センターがん情報サービス
- 日本胃癌学会 胃癌取扱い規約 第15版
- 日本胃癌学会 胃癌治療ガイドライン 第7版

