肝臓疾患の外科治療について

肝臓がん治療について

肝臓がんは原発性肝がんと転移性肝がんに分けられます。
原発性肝がんは、90%が肝細胞がん、4%が肝内胆管がんであり、その他細胆管細胞がんや混合型肝がんなどがあります。

1. 肝細胞がんとは

肝細胞がんは、もともと多くがC型肝炎、B型肝炎などのウイルス性肝炎を背景として発症していました。しかし近年の薬物療法の進歩によりウイルスの鎮静化・除去を目指せるようになり、それに伴い肝細胞がんの発症数も減少傾向です。背景とする肝疾患もそれとともに変化してきており、近年では代謝異常関連脂肪肝などが増加してきています。

肝細胞がんの治療は、肝切除、局所療法(ラジオ波焼灼術などの針を刺して焼く)、肝動脈化学塞栓療法(カテーテルで腫瘍を栄養する血管を詰める)、薬物療法(免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬など)、肝移植などがあります。

われわれはガイドラインに沿って治療方針を決定しています。原則として肝臓の予備能がある程度保たれていることが治療の条件となります。
そのうえで、3cm、3個以下の肝細胞がんなら、肝切除もしくは局所療法が推奨されています。どちらの治療も可能な病変であれば、再発率や生存率には差がないとされています。3cm以上、3個以下での肝細胞がんなら、肝切除もしくは塞栓療法が推奨されています。4個以上なら、塞栓療法もしくは薬物療法が推奨されています。

また、肝切除に関しては、近年は腹腔鏡下手術が普及してきており、当院でも適応がある方には腹腔鏡下手術をお勧めしています。
薬物療法は、第一選択として免疫複合療法(アテゾリズマブ+ベバシズマブ療法など)を行い、第二選択として分子標的薬治療(レンバチニブなど)を行います。


2. 肝内胆管がん

肝内胆管がんは、肝内の大型胆管から発生する中枢型と、末梢の胆管から発生する末梢型があります。治療は手術、薬物療法が選択肢となります。手術は、末梢型の場合は比較的小さな領域での切除となることもありますが、中枢型の場合は肝葉切除と肝外胆道切除が必要となります。動脈や門脈などの血管に浸潤している場合や遠隔転移がある場合は切除不能であり、薬物療法を行います。現在は、第一選択としてGCD療法(もしくはGCP療法)という抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬を併用する治療を推奨しています。

3. 転移性肝がん

手術となるのは大腸がんからの転移が最も多く、特に他臓器に転移がない場合や化学療法で他臓器の転移がコントロールできている場合は積極的に手術を行うことが推奨されています。部位によっては腹腔鏡下手術をお勧めしています。

巨大肝嚢胞

無症状の肝嚢胞は経過観察が原則ですが、腹痛・黄疸・圧迫症状などの症状を有する場合や悪性が否定できないときは治療を行います。有症状の肝嚢胞に対する治療は、腹腔鏡下肝嚢胞開窓術をお勧めしています。これは嚢胞のふたをあけて内容液を腹膜から吸収させる方法です。ほかに穿刺吸引術(エタノールやミノマイシンを注入する)や肝切除などがありますが、まず嚢胞開窓の適応を検討します。