神経科

お知らせ

受診が必要な方が安心して診療を受けられるように、感染症対策を実施しております。

専門領域

 当科は気分の落ち込みなどの気分の変調、考えがまとまらないなどの思考の障害や、物忘れなどの認知機能障害、食行動異常(摂食障害)を主として扱う科です。入院される疾病で多いのが、統合失調症(統合失調症の入院加療について(PDF 93.5KB))と、気分障害(うつ病:うつ病の入院加療について(PDF 97.7KB)、双極性障害)です。それぞれ40%、30%を占め、以下ストレス性障害、アルコール等の依存症、認知症、摂食障害と続きます。

疾病別入院患者数の割合

特色

当科の特徴は、ソフト面では、(1)総合病院という環境を生かした身体管理や画像検査が必要な方への精神科医療の提供、(2)多人数・多職種のスタッフを生かした、入院環境下で行える多面的な精神科医療の提供。ハード面では(3)入院病棟として開放病棟を持ち、その構造を生かしたストレスからの避難保護的空間の提供、を行っていることです。
 (入院については、「外来受診・入院に関してのお願い、注意」及び「入院生活のご案内(PDF 369.8KB)」「入院中の持ち物について(PDF 289.4KB)」「御面会の方へのお願い(PDF 205KB)」もご参照ください。)

(1)総合病院という環境を生かした身体管理や画像検査が必要な方への精神科医療の提供

  • 薬物療法に反応が良くない、もしくは症状の著しいうつ病等では、麻酔科の医師の協力のもと施行している無痙攣性電気けいれん療法の適応となる場合があります。当科は昭和60年頃より無痙攣性電気けいれん療法を行っており、日本において無痙攣性電気けいれん療法を最も早く開始した施設の一つです。令和5年度現在、年間のべ66回を超えて施行しております。
  • 神経症性やせ症等の摂食障害は早期に治療を開始した方が改善しやすいと考えられていますが、残念ながら医療機関未受診あるいは、中断の方が多くいらっしゃいます。やせが進行してしまい、標準体重の65 %あるいはBMI 13 kg/m2未満の高度なやせや、あるいは低血圧や電解質異常が出現したときは、ほとんどの場合、入院が必要となります。全身衰弱がすすんでしまい、救命救急センターに搬送され入院した後、当科に移られて引き続き治療受ける方もいらっしゃいます。こういった場合は、病院の栄養サポートチームと相談しながら入院初期では点滴による治療を行い、段階的に経口から摂取する栄養を増やしていきます。高度のやせのような飢餓状態では一般的に認知機能が低下し、情動不安定になりますので、原則的には心理療法、疾病教育は体重が回復してから行っていきます。
  • アルコール依存症では、身体的な治療目的入院中に離脱症状が出現しアルコール依存症の指摘を受けることがあります。その場合は身体的な治療がひと段落ついた後、ご本人とご相談の上、当科に転科し不眠や気分の落ち込みに対して適宜治療を行い、退院後は疾病教育が受けられる医療機関へご紹介する流れになります。
  • 三次救急を受け入れている総合病院であるため、事故、身体疾患や妊娠・出産を契機とした、例えば急性ストレス反応や、適応障害、産褥期うつ病(産後うつ病)などで気分の落ち込みや不安等の精神の変調が出現した方も多く受診されています。(PTSDに関して、専門的な精神療法をご希望される場合は他院をご紹介しております)
  • 物忘れを心配されて受診される方が近年増えています。例えば認知症のうち比較的割合が高い、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の診断には画像検査(MRI、脳血流シンチグラフィーやダットスキャン)及び心理検査(MMSEや長谷川式等)が必要になりますが、当院ではそれらが行える設備、人員を備えております。また、島嶼にお住まいで通院での検査が難しい方には入院での対応もしております。かかりつけの先生(当院の連携登録医)からご紹介をいただく「もの忘れ診察1日コース」も設置しております。詳しくはこちらをご覧ください。

(2)多人数・多職種のスタッフによる、入院環境下で行える多面的な精神科医療の提供

  • 医師、看護師、臨床心理士、薬剤師、及び精神保健福祉士が参加する多職種合同カンファレンスと、医師チームのカンファレンスをそれぞれ原則毎週開いています。それらでは入院中の患者さんがより適切な治療を受けられるように、診断及び治療方針について複数の医療者により多面的に検討を行っています。
  • 心理検査、疾病教育や心理療法等も必要に応じて受けられます。病棟内では食堂を兼ねたデイルームがあり、週に一回、臨床心理士、医師が参加して、集団精神療法を行っております。気分障害圏・不安障害の方では、入院中に認知行動療法のイントロダクションを受けられます。一般的に認知行動療法では約10回前後の心理面接セッションが行われますが、当院での実施はその準備段階と位置づけております。退院後希望する方には、適切な外部機関を紹介致します。(認知行動療法とは心理療法の一種で、出来事や状況に対する認知(=考え方)に介入することで感情や行動の改善をはかります)

(3)開放病棟という構造を生かしたストレスからの避難保護的空間の提供

  • 当科の病棟は開放病棟(必要時の短時間を除いて原則午前9時から午後5時まで、病棟の扉を施錠しておりません。)として昭和57年の開設以来運用されており、都心の総合病院にあることもあいまって、開放的な環境を提供しております。そのような環境のため、ストレス要因から一時的に離れ、心身の回復を図る目的で入院される方も多くいらっしゃいます。
  • 著しい精神症状が長期に続く場合や、他害性がある場合等、開放病棟での治療が困難な病状と考えられるときは、他医療機関における閉鎖病棟での治療をお勧めしております。

(4)アフターコロナケア入院プログラム

コロナ後の健康回復・復職支援など、心と体の休息、検査を行うことができる総合病院内の精神科病棟における治療プログラムです。

  • 社会生活技能訓練、心理的・リハビリテーションも行っています。
  • 患者さんと緊急時の対応プラン(クライシスプラン)を作成し、ご家族にも安心していただける継続医療・看護を実践しています。
  • 入院中から退院後の治療継続・連携を工夫しながら、退院前訪問看護や関係者会議を行い、退院後の安心・自律した生活が過ごせるように丁寧な対応を心がけています。

 

「もの忘れ診察1日コース」のご案内

外来受診・入院に関してのお願い、注意

初診時には、神経科の場合は、きめこまやかな問診が必要とされ、現病歴の他に、ご本人の性格、生活史や家族歴、ご家庭・職場の状況など詳しくお聞きすることがありますので、診察に十分な時間が必要とされています。したがって、お一人に1時間程度を確保するため、あらかじめ御予約を取っていただくようにしています。

当院の周辺にはメンタルクリニック等の診療所が多数あり、それぞれが特色ある医療を行っております。当科は上記のような入院加療を行っている関係で、初診後、外来通院のみの継続的な治療がしばらく必要であると考えられたときは、原則、診療所等への通院をお勧めしております。

入院に際して、病棟に持ち込める物品に、一部制限があります。また、神経科病棟を含めて、病院敷地内は禁煙です。面会時間も、他の病棟より短くなっております。開放的環境ではありますが、病状によっては入院中、特に入院当初に、外出などの行動の制限をお願いすることがあります。 下記のリンク先の文章もご参照ください。

その他

生活リズム表:生活、睡眠のリズムを確認し理解するために、記入をお願いすることがあります。下記からダウンロードして印刷していただくことができます。

外来診療担当医

神経科の外来担当表はこちらをご覧ください。

最終更新日:2024年3月8日