呼吸器センター

呼吸器センターの概要

最終更新:令和7年9月

 呼吸器疾患は多岐にわたっており、単一診療科で完結しない疾患が多くあります。例えば、気胸や膿胸は外科的治療も内科的治療も行われる疾患です。さらに肺がんは、診断のための画像検査、病理検査、治療としての手術や放射線、薬物治療、緩和治療などそれぞれの専門の科が連携し診療していきます。
 これらの疾患に対応するには複数の診療科の密な連携が不可欠です。また、当院は都道府県がん診療連携拠点病院であり、病院全体としてがん治療に重点を置いています。このたび、呼吸器悪性腫瘍を中心とした診療チームの体制強化を目指すため、呼吸器センターを設立しました。呼吸器内科・呼吸器外科・放射線科・病理科等の各診療科が密に連携を取り、総合的な判断で治療方針を決定することで質の高い医療を迅速に提供することを目指しています。

目次

1.呼吸器悪性腫瘍の分類
2.症状
3.原因とリスク因子
4.診断
5.治療
 5-1.手術
 5-2.放射線治療
 5-3.薬物療法
6.診療体制
 6-1.外来予定表
7.外来予約方法

1.呼吸器悪性腫瘍の分類

 呼吸器のがんは、肺、気管、胸腺、胸膜など、呼吸器系のどの部位にも発生する可能性があります。これらのがんは、その成長や転移のパターン、治療応答、予後において異なります。
 肺がんは特に多く、顕微鏡で見た特徴(病理学的診断)をもとに小細胞がんと非小細胞がんの二つの主要なタイプに分類されます。また、原発巣の状況やリンパ節転移の有無や場所、他の臓器への転移の状況により進行度(ステージ(病期))に分けられます。

2.症状

 症状は、がんの種類や進行度、そしてがんの位置によって異なります。肺がんでは、持続する咳や痰、胸痛、息切れ、血痰などが主な症状です。進行がんでは、体重減少、疲労感、食欲不振などの全身症状が現れることがあります。これらの症状が現れた場合、速やかに医療機関を受診することが重要です。

3.原因とリスク因子

 喫煙は最も重要なリスク因子であり、肺がんの主要な原因となっています。大気汚染やアスベストなどの環境因子も、呼吸器のがんのリスクを増加させます。家族歴や遺伝的要因も、特定の種類の呼吸器のがんに関連していることが示されています。

4.診断

 診断およびその後の治療のためには、詳細な病歴と身体検査、血液検査、心電図、呼吸機能検査は必須の検査です。また、ステージを確認するための胸部レントゲンやCT、MRI、PET-CTは、肺がんの診断に不可欠です。病理学的診断のための組織検査は、気管支鏡検査やCTガイド下生検、手術などで病変部位の組織や細胞を採取し、がんのタイプを特定するために行われます。さらに、病理学的診断に加え近年、肺がん組織の遺伝子の変化(遺伝子変異)や免疫に関連する蛋白(PDL1など)も治療につなげるために必要な検査となっています。

5.治療

5-1.手術

 手術は、全身麻酔をかけ、がんのある肺の一部や全体(肺葉)を切除して取り除きます。がんが肺の一部に限られていて、ほかの臓器に広がっていない場合に行われます。切除する肺の範囲は、「部分切除」「区域切除」「肺葉切除」「肺全摘」などがあり、がんの位置や大きさに応じて決定されます。近年の肺がん手術は、胸腔鏡というカメラを使って小さな傷で行われ、以前より術後の回復が早くなっています。また、最近では、ロボット手術も行われております。ただし、体力や呼吸機能が低下している場合や、がんが広がっている場合は手術が難しいことがあります。一方、手術の前後に抗がん薬などの追加治療(補助療法)を行うことがあります。肺がん手術における入院期間はおおむね1〜2週間で、術後は手術前の日常生活への復帰を目指します。

参考:呼吸器外科ページ

5-2.放射線治療

 放射線治療は、高エネルギーのX線をがんに集中して照射し、がん細胞を壊す方法です。手術が難しい場合や、がんが特定の場所に限られている場合に用いられます(根治照射)。当院では「強度変調放射線治療(IMRT)」や「定位放射線治療(SRT/SBRT、ピンポイント照射)」といった高精度放射線治療に力を入れており、根治的放射線治療は全例に高精度放射線治療を適用しています。特に、早期の肺がんにはピンポイントに的を絞って高い線量を短期間で当てる定位放射線治療が有効です。治療は痛みを伴わず、体を切らないため高齢の方や持病のある方にも適しています。また、進行がんや転移がある場合には、症状(咳や痛みなど)を和らげる目的でも使われます(緩和照射)。副作用としては咳・息苦しさ、食事のつかえ感、照射部位の皮膚の赤み、だるさなどがありますが、多くは時間とともに改善します(照射範囲・線量により異なります)。通院で行えることも多く、行う回数や期間はがんのタイプや広がり、放射線治療の目的により異なります。

早期肺癌の定位放射線治療(SBRT)
局所進行肺癌の強度変調放射線治療(IMRT)

参考:放射線科(治療部)ページ 肺癌の放射線治療ページ

5-3.薬物療法

 薬物療法は、薬を使って全身に広がったがん細胞を攻撃する治療です。代表的なのは抗がん薬(化学療法)で、がん細胞の増殖を抑えます。近年は、特定の遺伝子変異を持つがんに効く「分子標的薬」や、免疫の力を利用してがんを攻撃する「免疫チェックポイント阻害薬」も広く使われています。薬は点滴や内服で投与し、全身に作用するため、手術や放射線では届かない場所のがんにも効果が期待できます。一方で、吐き気・脱毛・だるさ・血球減少などの副作用が出ることがありますが、副作用を和らげる薬やサポート体制も進歩しています。薬の選び方は、がんの種類(小細胞か非小細胞か)、遺伝子検査の結果、体の状態などを総合的に判断して決めます。

参考:呼吸器内科ページ

6.診療体制

センター長 
 中川加寿夫(呼吸器外科部長)
副センター長
 細見幸生(呼吸器内科部長)
医師
 四方田真紀子(呼吸器内科医長)
 渡邊景明(呼吸器内科医長)
 淺井麻依子(呼吸器内科医員)
 品田佳那子(呼吸器内科医員)
 井上智康(呼吸器内科医員)
 森田芽生子(呼吸器内科医員)
 水島麗生(呼吸器内科医員)
 鈴木幹人(呼吸器外科医員)
 井本智博(呼吸器外科医員)
 矢野海斗(呼吸器外科医員)
 清水麗子(呼吸器外科医員)
 室伏景子(放射線科治療部部長)
 田口健太郎(放射線科治療部医員)
 山本亜也(放射線科診断部医長)
 比島恒和(病理科部長)
 加藤晃史(臨床研究・治験センター部長、呼吸器内科兼任)

6-1.外来予定表

呼吸器内科

呼吸器外科

品田佳那子
渡邊景明
水島麗生
細見幸生
淺井麻衣子
四方田真紀子
井上智康
細見幸生
森田芽生子
渡邊景明
四方田真紀子
中川加寿夫中川加寿夫
鈴木幹人
中川加寿夫清水麗子

鈴木幹人
(1、3、5週)
清水麗子
(2、4週)

7.外来予約方法

<医療関係者が直接ご予約を取得される場合>
直接、医療連携担当宛てに、以下のどちらかの方法でご連絡ください。

 受付時間:平日9時~17時、土曜9時~12時
 直通電話:03-4463-7534 (医療関係者専用)
 F A X:03-4463-7537(医療関係者専用)

 <患者さんご自身で予約を取得される場合>
患者さんに当院医師宛ての診療情報提供書(紹介状)をお渡しください。
当院の予約専用電話にご連絡ください。 

 受付時間:平日9時~17時、土曜9時~12時
 電話番号:03-3823-7890