リウマチ膠原病内科

当科は、多摩地域におけるリウマチ・膠原病診療の中核を担う専門科です。
すべてのライフステージに対応したきめ細やかな医療を提供しています。
患者の生活の質(QoL)を第一に考え、地域との連携体制を整えながら、患者さん一人ひとりに寄り添う診療を行っています。

東館

概要

当科の使命~患者中心の医療を通じて、多摩地域のリウマチ膠原病患者の生涯にわたる生活の質(QoL)を支える

リウマチ膠原病には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性強皮症、血管炎症候群、多発性筋炎・皮膚筋炎をはじめ多くの疾患が含まれます。これらの疾患は、病院の解明が未だ不十分のため、診療が容易ではない共通点があります。関節リウマチだけでなく、膠原病も治療が進歩し、学業・就労・結婚・妊娠出産・旅行など、生活の質(QoL)は著しく改善しています。

当科は日本でも最も歴史の古いリウマチ膠原病科の一つで、1990年7月に開設(旧都立府中病院)されました。しかし、多摩地域全体の診療基盤が脆弱であったことから、非常に多くの患者さんが都内の大学病院への通院を余儀なくされていました。
2007年に、「多摩地域のすべてのリウマチ膠原病患者が多摩地域で継続して標準的な診療が受けられるようにする」を使命に掲げ、地域の病院およびクリニックと緊密に連絡しながら、急性期や合併症の診療は当院で行い、慢性期や安定期の診療はお近くのリウマチ専門医のいるクリニックで診療を行う体制を整えました。近年、ようやく多摩地域全体のリウマチ膠原病の診療基盤が充実したことにより、多摩地域のすべてのリウマチ膠原病患者が多摩地域で継続して標準的な診療が受けられるようになりました。

そこで、2025年に当科の使命を「患者中心の医療を通じて、多摩地域のリウマチ・膠原病患者の生涯にわたる生活の質(QoL)を支える」としました。

お住まいの地域で、すべてのライフステージに応じて一人ひとりの患者の人生に寄り添い、QoLを最大化できることを目指します。
リウマチ性疾患・勝原病疾患では、病変は全身に存在し得るため、筋・骨格系、諸々の器の重大な病変を生じ、QoLが低下することがあります。そのためリウマチ外科の医師が連携して診療を行っています。
膠原病では、複数の臓器に障害をきたすことがありますが、呼吸器内科、腎臓内科、消化器内科、皮膚科、脳神経内科など複数の専門診療科と協力しながら診療を行っています。

外来での診療

診断と治療の進歩により、ほとんどのリウマチ膠原病疾患は外来診療で対応可能となりました。
関節リウマチや膠原病は重症化すると回復に時間がかかり、その後の人生のQoLの低下を招きます。外来で早期に診断、治療を開始することが重要です。
私たちは外来診療に力を入れています。
2025年5月に外来新棟の東館に拡張移転しました。日本最大規模の8診察室となり、より快適な外来環境となりました。

患者のQoLの改善・維持には体調の変化に細やかに対応するために、最長でも2か月毎の通院が望ましいと考えています。そして2か月毎の通院も不要であるくらい病状が落ち着いていた場合、お住まいの近くの連携している専門医にご紹介させていただきます。

特に、東京都立多摩北部医療センター東京都立多摩南部地域病院とは、外来診療および入院診療ともシームレスな連携体制を敷いています。

リウマチ

入院での診療

肺炎などの合併症が生じた場合は、当院あるいは連携している施設で入院治療を迅速に行います。
当院は広大な多摩地域でリウマチ膠原病患者の最後の砦として、診断が難しい病態や重症患者の受け入れを積極的に行っています。入院治療において当科ではチーム制をとっており、主治医だけでなくチーム全員でベストの治療方針を毎日検討しながら診療を行っています。
また、リウマチ外科で入院しても、リウマチ膠原病内科が併診して合併症の管理などを行っています。入院期間を短くすることはQoLを損なわないためにも非常に重要です。ステロイドの容量に関わらず、病状が落ち着いたら外来での治療に切り替えます。

ライフステージに合わせたリウマチ膠原病診療

1. 妊娠・出産

リウマチ膠原病患者は若い女性が多いことが特徴です。将来の妊娠出産に関して相談をしたくてもできずに悩んでいる患者さんも少なくありません。
母性内科外来では、妊娠・出産を専門にするリウマチ専門医が将来の妊娠出産に関する相談(プレコンセプション相談)や、妊娠から出産、産後1年までの診療に関する相談を院内だけでなく院外からも受け付けています。
当院は総合周産期医療センターとして、多くのリウマチ膠原病合併妊娠の患者さんの受け入れを行っています。
特にSLE合併妊娠や、抗SS-A抗体関連妊娠に関する症例数は全国でもトップクラスです。

2. 小児から成人への移行医療

隣接する東京都立小児総合医療センターの小児リウマチ膠原病外来では、若年性特発性関節炎、全身性エリテマトーデス、若年性皮膚筋炎、全身性強皮症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、血管炎症候群、周期性発熱症候群などの診療を行っています。
小児から成人への移行に関して、就学を含め大きな不安を抱える患者さん・ご家族は多いです。
私たちは患者さんとそのご家族の希望に寄り添うことができるように、連携している地域の専門医とも協力しながら成人への移行医療を行います。