1. プルヴィクト治療とは
プルヴィクトは、これまでの治療(ホルモン療法や化学療法)で効果が不十分となった「転移のある去勢抵抗性前立腺がん」に対する放射線治療法です。
この治療は、がん細胞の表面にある「PSMA(前立腺特異的膜抗原)」というタンパク質を標的にします。放射性物質(ルテチウム-177)を結合させた薬剤を点滴で体内に注入すると、薬剤が全身の転移巣に集まり、そこから放出される放射線(ベータ線)によって、がん細胞を内側から攻撃します。
2. 適応
以下の条件をすべて満たす方が対象となります。
①去勢抵抗性前立腺がん: ホルモン療法を行っても病状が進行している状態。
②遠隔転移がある: 骨やリンパ腺などに転移が見られる状態。
③PSMA陽性が確認されている: 事前に「PSMAペット(PET/CT)検査」を行い、がん細胞に薬剤が集まることを確認する必要があります。
④全身状態(特に腎機能や骨髄機能)に問題がない
⑤規定の治療歴がある: すでに新型ホルモン薬や化学療法(タキサン系抗がん剤)による治療を受けていること。
⑥隔離病棟での自立した生活が可能
3. 治療の流れ
プルヴィクト治療は、通常6週間の間隔をあけて、最大6回まで点滴による投与を行います。
投与には特別な個室での入院が必要です。
入院期間は2〜3日間ほどで、体から出る放射線の量が法律で定める基準以下となれば退院が可能です。
入院中の外出や面会等はできません。閉所恐怖が強い方や、ご自身の生活に介助が必要な方は治療できません。
4. 治療効果
臨床試験において、従来の治療よりも、病気の制御期間が長いことが証明されました。
5. 主な副作用と注意点
- 主な副作用: 口の渇き・乾燥、疲労感、吐き気、貧血、血小板減少などが報告されています。これは、薬剤が唾液腺や骨髄にも取り込まれるために起こります。また、腎臓を通って排泄されるため腎機能が悪化する可能性があります。
- 周囲への放射線防護: 投与後数日間は、体から微量の放射線が出るため、ご家族など周囲の方への被ばくを避けるための生活上のルール(トイレの流し方、長時間の密着を避けるなど)を守っていただく必要があります。
6. 受診・相談について
患者さんご自身からのご予約は受け付けておらず、おかかりの医療機関から医療連携室を通じて、当院の腎泌尿器外科および放射線科治療部の初診をご予約ください(医療連携に「プルヴィクト」もしくは「PSMA治療」とお伝えいただくとスムーズです)。その際、紹介状が必要となります。
2026年2月 早川 沙羅

