子どもがお薬を飲んでくれないとき、どうする?

子どもがお薬を飲んでくれないとき、どうする?

病院からもらったお薬は指示通りに飲ませなきゃいけないと思って悩まれている保護者の方は多いのではないでしょうか。

今回は少しでもお薬を飲ませやすくなるよう、飲ませ方の工夫などについて都立病院の薬剤師が紹介します。

 

粉薬はどんな味?

お薬を嫌がる子どものイラスト

子ども用の粉薬は、甘い味や香りをつけて飲みやすく工夫されているものが多くあります。例えば、抗アレルギー薬の成分は苦いですが、バナナ味やイチゴ味など子どもが好きな味にして飲みやすくしている薬もあります。

それでも、抗生剤やステロイドの粉薬など、お薬によっては、苦い味がどうしても残ったりお薬の量が多かったりするので、子どもが飲むのを嫌がることがあります。

飲むのを嫌がるとき、どうする?

1. ジュース、ヨーグルト、アイス、ゼリーなどの飲食物に混ぜる

ジュース、ヨーグルト、アイス、ゼリーのイラスト

ご家庭にあるもので、手軽に試すことができます。飲食物を使う場合の注意点は2つあります。

  • 1歳未満の子どもには、はちみつが含まれる飲食物を避けてください。乳児ボツリヌス症になる危険があります。
  • お薬と飲み合わせの悪い飲食物に注意してください。例えば、マイコプラズマ肺炎の治療でも使用される「アジスロマイシン」という抗生剤は、オレンジジュースやヨーグルトなど酸味が強いものと混ぜると、苦味が強く出てしまいます。

東京都立小児総合医療センター薬剤科のHPでは、このような飲み合わせの相性を紹介しています。

https://www.tmhp.jp/shouni/section/paramedical/pharmacy3.html

「6 粉薬と服用補助食品の飲み合わせ」
att_0000009.pdf (tmhp.jp)

 

2. 服薬補助ゼリーを使う

お薬用ゼリーのイラスト

ドラックストアや保険薬局で販売されている服薬補助ゼリーは、お薬の吸収や作用に影響しない成分で作られていたり、砂糖不使用などで1歳未満でも使用できる製品があります。

製品によっては、服薬ゼリーの使い始めだけ水分が多いことがあります。その場合は水分が多い部分は一旦捨てて、固形のゼリーの部分を使ってお薬をしっかり挟みこむと、成功しやすいです。

3. 錠剤やカプセルに挑戦

5歳前後になると小さめの錠剤やカプセルを飲める子どもも増えてきます。

お薬の量は、体重に合わせて変わりますので、体重に比例して、お薬の量が増えていきます。粉薬の量が多い場合、錠剤やカプセルへの変更で飲みやすくなることがあります。また、苦みが強いお薬では、錠剤の方が苦みを感じにくくなるメリットもあります。

錠剤に挑戦できそうになったら、小さなラムネ菓子やチョコレート菓子等を使って、水で飲む練習をしてみましょう。

 

4. お話すること、イメージすること、褒めること

お薬を飲むこどものイラスト

1歳を過ぎると、少しずつお話が理解できるようになります。なぜお薬が必要なのかお薬を飲まないとどうして困るのか、子どもとお話ししてみるとよいでしょう。おままごとのおもちゃを利用して、ぬいぐるみや人形にお薬をあげてみるといったごっこ遊びも有効かもしれません。

そして、何より保護者の方に褒められることが子どもにとって1番嬉しいことです。お薬を飲めた時は、「〇〇ちゃん、すごい!かっこいい!」などたくさん褒めてあげてください。

粉薬のよくあるトラブル

一杯分のジュースに溶かしたけど、飲み残してしまった

お薬を混ぜるときは、一口で飲める程度のジュースに溶かして与え、お口直しに元の美味しいジュースを飲ませるのがコツです。
このとき、生ジュースやグレープフルーツジュースを使用すると、お薬の効き目に影響することがありますので、避けてください。

ゼリーに混ぜたけど、子どもが苦いと飲んでくれない

ゼリーやヨーグルトなどの食品の上にお薬をふりかけていたり、かき混ぜてしまうと、苦みやざらつきを隠せません。サンドイッチのようにお薬を食品で挟むことで、苦みやざらつきを抑えることができます。

お薬をサンドイッチする方法

(1)スプーンにゼリーやヨーグルトなどの食品を適量とり、その上にお薬をのせる
注目情報お薬の量が多い場合は、1滴~数滴の水を加えてお薬団子を作ると、のせやすくなります。

(2)お薬を包むように、(1)の上にゼリーやヨーグルトなどの食品をのせる

見た目で、お薬を嫌がられてしまった

オレンジやピンクなど鮮やかな色のお薬を視覚的に嫌がる子どももいます。このようなケースでは、イチゴヨーグルトやチョコレートなど色のついた食品で隠すとお薬が見えにくくなります。

 

最後に

お薬の種類や治療期間、子どもの年齢など状況によって、工夫の仕方は変わってきます。何かお困りの際は、ぜひ、病院や保険薬局の薬剤師にご相談ください。

 

参考文献

・〔監修〕五十嵐隆.〔編集〕JACHRI. 乳幼児・小児服薬介助ハンドブック. じほう, 2019

・〔編集〕石川洋一.〔編集協力〕江藤不二子,遠藤美緒,川名三知代. ゆるりとはじめる小児科の1冊目 子どもがわかるくすりがわかる. じほう, 2024

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最終更新日:令和7年4月28日

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