水分、足りていますか?~脱水症を防ぐために~

水分、足りていますか?脱水症を防ぐために

暑い時期に気を付けたいのが「脱水」。喉が渇く、めまいがする、頭が痛い。もしかしてその症状は「脱水症状」かもしれません。脱水症について都立病院のクリティカルケア認定看護師が解説します。

脱水症とは?どんな症状?

私たちの体の約60%は水分でできています。この水分は、体温調節や血液の流れ、栄養や酸素の運搬などに欠かせない役割を果たしています。特に夏の時期は、汗として体温調節を行う上で水分はとても重要な役割があります。

ところが、汗をかいたり下痢したりして水分と塩分(ナトリウムなど)を多く失うと、「脱水」という状態になります。脱水症になると、のどの渇きだるさめまい頭痛などの症状が現れます。さらに重症になると意識がもうろうとしたり、けいれんが起こったりすることもあります。また、汗による体温調整ができなくなると熱中症を悪化させる危険性もあります。

脱水のイラスト。汗をかく、下痢をするなどが原因で脱水になります。

「口の中・わきの下の乾燥」は脱水症のサイン!

脱水症のサインは体の色々なところに現れます。イメージしやすいのはのどの渇きでしょう。汗などで体の水分が失われ、脱水症になってくるとのどの渇きを感じるようになります。のどの渇きを感じた場合は、積極的に水分摂取をしましょう!

医療者も活用している脱水症のサインとして、口の中の乾燥わきの下の乾燥があります。通常、口の中やわきの下は常に湿っていますが、脱水症になると体の水分が減るので口の中やわきの下が乾燥します。特に口の中の乾燥は脱水症の可能性が高いため、口の中が乾いている場合は、水分を摂取しましょう!

また、皮膚をつまんで肌の張り具合を観察する「ツルゴール」というサインがあります。皮膚をつまんだときにすぐ戻らず、テントのように残る現象は「ツルゴールの低下」と呼ばれ、脱水症を示すサインの1つです。軽度〜中等度の脱水症ではこのようなサインが出現しますので、こうした変化に気づき早めの対応が重要です。

脱水のサイン

口の中やわきの下の乾燥を表したイラスト
ツルゴールの低下を表したイラスト。皮膚をつまんで、テントのように皮膚が残ればツルゴールの低下が疑われます。

乳児や高齢者は特に注意!

脱水症は、すべての人にとって危険ですが、特に乳児と高齢者は気をつける必要があります。

乳児

~わずかな変化に気づきましょう~

乳児は大人に比べて水分量が多く、体の約70%が水分です。そのため、わずかな脱水症でもすぐに悪化します。おしっこの回数が少なくなる泣いても涙が出ないぐったりしているなどの変化にすぐ気づくことが大切です。また、授乳やミルクをいつも通り飲んでいるか体温が高くないか注意深く見てあげましょう。

高齢者

~こまめな声かけも重要です~

高齢者は、さきほど紹介した脱水症のサインである「のどの渇き」を感じにくくなっている上に、ツルゴールも観察しにくくなります。体の機能を補う力(予備力)も低下しているため、脱水症になった際に症状が悪化しやすくなります。さらに、認知症などにより自分から水分摂取しないこともあるため、まわりの人がこまめに声をかけてあげることが大切です。

ペットボトル症候群に注意しよう!

汗をかいたときにスポーツドリンクやジュースなどを飲む機会が増えると思います。そんなときに気をつけたいのが「ペットボトル症候群」です。これは、甘い飲み物を多く飲みすぎることで血糖値が異常に上がり、体のバランスが崩れてしまう病気です。特にスポーツドリンクやエナジードリンクなどには、糖分が多く含まれていますので、水分補給として大量に飲む習慣があると発症することがあります。症状としては、だるさ吐き気頭痛、ひどい場合は意識障害命にかかわることもあります。そのため、水分補給の基本は水や麦茶などの糖分を含まない飲み物にしましょう。

水を飲む人のイラスト

脱水症になってしまった場合の治し方

脱水症の食事療法として経口補水液も市販されています。これは水、塩分、糖分を体に吸収されやすいバランスで配合した飲み物で、軽度〜中等度の脱水症に効果があるといわれています。しかし、経口補水液にはナトリウム(塩分)が多く含まれているため、心臓や腎臓に持病がある人は医師に相談した上で飲むようにしてください。

脱水症予防は「水分補給」

水分補給のコツは「のどが渇く前、定期的、少量ずつ」です。のどが渇いていなくても、時間を決めて摂取することがポイントです。特に運動時や暑い日は、15〜20分おきに少しずつ水や麦茶を摂取するように心がけましょう!

また、水分補給というと飲み物ばかりに目がいきがちですが、規則正しい食事も重要です。ご飯やみそ汁、果物や野菜は水分も取れ、塩分やミネラルも摂取することができます。夏バテしやすい季節ですが、水分補給だけでなく規則正しい食事も心がけましょう!

まとめ

脱水症を予防するには、定期的な水分補給や飲み物の選び方がとても大切です。水分補給だけでなく、規則正しい食事も心がけていきましょう!これからの時期は大変暑くなりますので、今回ご紹介した脱水症のサインを参考にしていただき、脱水症の兆候に早めに気づいていきましょう。

また、体調が悪い時は、無理をせず医療機関を受診することも大切です。

多摩総合医療センターの公式キャラクター「たまりん」のイラスト
多摩総合医療センター公式マスコット たまりん

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最終更新日:令和7年7月3日

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