腫瘍内科

腫瘍内科

診療内容

 腫瘍内科では病床は持っておらず、現在は通院治療センターの運用およびセンター内で治療中の患者さんの支持療法、有害事象の対応を行うことで安全に薬物療法を遂行することを主な業務として行っています。

通院治療センターで治療を行っている疾患

消化器領域(食道がん、胃がん、大腸(直腸を含む)がん、肝臓がん、胆道(胆嚢および胆管)がん、膵臓がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)、など
呼吸器領域(肺がん、中皮腫 など)
造血器領域(造血器腫瘍(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫)、骨髄不全(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群)、発作性夜間血色素尿症などの良性疾患 など)
婦人科領域(子宮がん、卵巣がん など)
乳腺領域(乳がん)
泌尿器科領域(腎がん、前立腺がん、尿管がん など)
リウマチ膠原病領域(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE) など)

がん薬物療法における主な有害事象

骨髄抑制・血液毒性:

造血幹細胞前駆細胞への細胞障害により骨髄造血が抑制され、出現します。血球減少の程度は抗がん剤の種類、用量、投与間隔、患者の骨髄予備能などに依存し、一般に投与後一定期間を経てnadir(骨髄抑制極期) に達した後、回復します。

白血球減少(好中球減少):

高度な好中球減少では感染症リスクが上昇し、発熱性好中球減少症(FN)は重篤な感染症や敗血症につながる可能性があるため、迅速な評価と対nadir応が必要となります。必要に応じて抗菌薬投与、G-CSF製剤の使用、抗がん剤の減量・延期などを検討し、感染予防と治療強度の維持を両立させることが重要です。 

赤血球減少:

赤血球減少に伴う貧血では、倦怠感、息切れ、動悸、めまいなどが出現し、重症例では組織酸素供給低下による臓器機能への影響を認めることがあります。評価にはヘモグロビン(Hb)値を中心に、網赤血球、MCV、鉄・ビタミンB12・葉酸などを確認し、また出血や溶血、腎性貧血など他の原因によるものではないかを鑑別します。

 血小板減少:

血小板数の低下に伴い、点状出血、紫斑、鼻出血、歯肉出血などの粘膜・皮膚出血がみられ、重度では消化管出血や頭蓋内出血など重篤な出血を来す可能性があります。評価では血小板数の推移を確認するとともに、凝固異常、感染症、薬剤性血小板減少、骨髄浸潤など他の原因も鑑別します。治療は血小板数だけでなく出血症状や治療内容を考慮し、必要に応じて血小板輸血を行います。 

消化管障害:

消化管粘膜の増殖が盛んな細胞が抗がん剤の細胞障害作用を受けることで生じ、口腔から消化管全体に影響し、口内炎・粘膜炎、悪心・嘔吐、食欲低下、下痢、便秘、腹痛など多彩な症状を呈します。特に口腔粘膜炎は疼痛による摂食・嚥下困難を招き、栄養状態やQOLの低下につながります。また、重度の下痢や嘔吐では脱水、電解質異常、腎機能障害を来す可能性もあります。腸管粘膜障害が高度になると、感染症や菌血症のリスクが高まることにも注意が必要です。症状の発現時期、頻度、程度、摂取量、体重変化、脱水所見、電解質・腎機能などを確認し、重症度を適切に評価したうえで制吐薬、止瀉薬、漢方薬などによる症状別の薬物療法に加え、口腔内の清潔保持、十分な水分・栄養管理を行います。 

肺障害:

肺胞・間質への直接的な細胞障害や免疫学的機序などにより生じ、薬剤性間質性肺疾患(ILD)や肺臓炎などを呈します。主な症状は、乾性咳嗽、労作時呼吸困難、発熱、低酸素血症などで、進行すると呼吸不全に至る可能性もあります。診断では、症状や酸素化の評価に加え、胸部X線・CTで浸潤影やすりガラス影などを確認し、感染症、肺水腫、腫瘍の進行、肺塞栓症などを鑑別します。特に免疫チェックポイント阻害薬では免疫関連有害事象(irAE)として肺臓炎を発症することがあり、早期認識が重要です。重症度に応じて酸素投与や副腎皮質ステロイド治療も考慮します。 

皮膚障害:

薬剤の直接的な細胞障害作用や免疫反応などにより生じ、薬剤の種類によって発現する症状や好発部位が異なります。主な症状として、皮疹、紅斑、そう痒、乾燥、色素沈着、爪囲炎、ざ瘡様皮疹、手足症候群などが挙げられます。特に分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬では特徴的な皮膚障害を認めることがあり、重症例では水疱、びらん、粘膜障害を伴う重篤な皮膚障害にも注意が必要です。皮膚症状は外見上の問題だけでなく、疼痛やそう痒による睡眠障害、日常生活動作の低下、QOL低下につながり、治療継続に影響する場合もあります。発症時期、皮疹の範囲・性状、疼痛やそう痒の程度、粘膜病変の有無、感染徴候などを確認し、重症度を適切に評価し、保湿剤による皮膚の保護、低刺激性の洗浄、紫外線対策などのスキンケアを基本とし、症状に応じて外用ステロイド、抗ヒスタミン薬、抗菌薬などを使用します。 

末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy:CIPN):

抗がん剤による神経細胞体、軸索、軸鞘への直接的な障害によって生じます。特に白金製剤や微小管阻害剤、mTOR阻害剤などで発症頻度が高く、薬剤の種類や累積投与量、投与期間、患者背景などにより重症度が異なります。主な症状は、手足のしびれ、感覚鈍麻、灼熱感、疼痛、異常感覚などの感覚障害であり、進行すると筋力低下や巧緻運動障害、歩行障害を伴うこともあります。白金製剤のオキサリプラチンでは、投与直後から誘発される一過性の末梢神経症状に加え、累積投与による遅発性の感覚障害にも注意が必要です。症状の部位、性状、発症時期、日常生活への影響を確認し、CTCAEなどを用いて重症度を評価します。重症化すると転倒やADL低下につながり、治療継続にも影響するため、早期から症状を把握することが重要です。対応としては、原因薬剤の減量・休薬・中止を検討するとともに症状に対しては漢方薬を含めた薬物療法を行います。 

免疫関連有害事象(irAE):

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫系の活性化に伴い、自己免疫反応に類似した機序で正常組織が障害される副作用の総称です。皮膚障害、甲状腺機能障害などの内分泌障害、肝障害、腸炎・下痢、肺臓炎、腎障害、神経・筋障害、心筋炎など、ほぼ全身の臓器に発症する可能性があります。発症時期はICI投与開始後早期から治療終了後まで幅広く、症状が非特異的な場合も多いため、ICI投与患者では常にirAEを念頭に置く必要があります。診断では、症状や血液検査、画像検査、内視鏡検査などを適宜実施します。重症度に応じてICIの休薬または中止を検討し、副腎皮質ステロイドを中心とした免疫抑制療法を行います。内分泌障害ではホルモン補充療法が必要となる場合もあります。

通院治療センターの効果的な運用に向けての取り組み

通院治療センターを効果的に運用するためには、安全な治療提供を前提として、患者さんの待ち時間短縮、業務の標準化、多職種連携、ベッド稼働率の最適化を図ることが重要です。がん薬物療法の進歩により外来治療の対象患者さんが増加する一方、通院治療センターの治療ベッド・スタッフなどの医療資源には限りがあり、限られたキャパシティの中で効率的かつ安全に治療を提供することが課題となっています。限られた病床を効率的に稼働させるためには朝一番の予約患者さんの治療開始時間を早め、1日の治療枠を最大限に活用する必要があり、そのことが以降の時間帯に治療を受けられる患者さんの待ち時間短縮や、最終的には当日の最後の患者さんの治療終了時間を早めることにも繋がります。

通院治療センターでは、患者さんを少しでも早く治療へご案内できるよう、各科主治医、臨床検査科と協力して朝一番の治療予定の患者さんを速やかに治療開始できるような取り組みを強化しております。

診療実績

当院における年度別抗癌剤調剤件数(入院/外来別)
通院治療センターにおける治療実施件数
通院治療センターにおける新規患者人数
通院治療センターにおける新規患者人数(腫瘍/非腫瘍別)
令和4年度以降利用患者内訳(R8/8/31時点 居住地別)
令和4年度以降利用患者内訳(R7/10/31時点 診療科別)
令和4年度以降利用患者内訳(R8/8/31時点 腫瘍性疾患/非腫瘍性疾患別)
画像なし

業績

「がん患者における栄養障害とフレイル対策について」
第9回POBSフレイル連携セミナー(第16回地域包括ケア多職種研修会)令和6年4月

「がん薬物療法における通院治療センターの役割およびその効率的運用に向けた取り組みと抗悪性腫瘍剤/抗HER2抗体皮下注製剤の導入による変化について」
Chugai Healthcare Leadership Summit for Nursing Directors 令和6年12月 

「通院治療センターの効率的運用における課題と当院での取り組みについて」
GAIRAI-外来化学療法運用効率化のためのワークショップ- 令和7年9月

「通院治療センターの効率的運用における課題と当院での取り組みについて」
第64回日本癌治療学会学術集会 スポンサードシンポジウム 令和8年10月 

スタッフ紹介

2026年9月24日 最終更新