脳転移集学的治療センター

脳転移集学的センターの紹介

更新日 2026年4月21日

私たちは東京都がん診療連携拠点病院の脳転移対応部門として脳転移診療に取り組んでまいりました。当院内の患者さんにとどまらず、近隣医療機関でがん治療をされている患者さん、各診療科の先生をサポートすることを目標としています。
スタッフの蓄積された経験と充実した診療体制を確保することで脳転移に対して、質の高い、診断、治療を提供します。

メンバー

センター長: 大谷亮平
副センター長 田口健太郎

メンバー

脳神経外科:山田良治、吉岡良介、清水桜
放射線科(診断部):高木康伸
放射線科(治療部):田口健太郎、清水口卓也
腫瘍内科:金政佑典
乳腺外科:橋本梨佳子
病理科:新井秀雄

脳転移の診断

脳転移は悪性腫瘍(がん)が原発巣を離れ、脳に病変が転移した病状を指します。転移性脳腫瘍とも呼ばれます。肺がんや乳がんの、特に進行期の患者さんに多いとされますが、すべての悪性腫瘍の患者さんに生じうる病状です。
リスク因子としては・他の部位に転移がある・特定の遺伝子変異がある(EGFR遺伝子変異)・特定の病理タイプ(トリプルネガティブ乳癌、小細胞肺癌)が知られています。
脳転移が生じた部位に特有の神経の症状、吐き気、頭痛などの脳の圧の高まり(「頭蓋内圧亢進」といいます)に伴う症状をきたすことがあります。特に症状がなくてもリスクが高いと考えられる患者さんに画像検査をして(スクリーニング)転移が発見される場合もあります。脳転移の画像診断には一般的に造影MRI(CT)が用いられます。

当院における脳転移の治療方針

転移巣の部位、大きさ、数、症状の有無、脳転移に有効な全身薬物療法の有無などの因子により方針が決まります。
手術、放射線治療は脳転移集学的治療センターで担当し、全身薬物療法は各領域の薬物療法の専門の医師が担います。

当院では概ね下記の方針をとっています。

  • 症状の心配がない脳転移で、脳転移に有効な全身薬物療法が実施できる場合。
    ⇒画像で経過観察しながら全身薬物療法を行います。
  • 3cmを超える腫瘍/病理診断が必要な場合
    ⇒手術での摘出を行うことがあります。
  • 上記以外で10か所以内の脳転移
    ⇒定位放射線治療を行います。
  • 10か所を超える転移がある、髄膜播種をきたしている場合
    ⇒全脳照射を行います。

 患者さんの状態により例外があるため、実際の治療方針は診察と検査結果をもとに担当医師が検討し適切な方針を提案します。

脳転移集学的治療センターが提供する脳転移診療の特色

脳神経外科、放射線科 それぞれの解説のページをご参照ください。

転移性脳腫瘍に対する外科的治療
転移性脳腫瘍に対する放射線治療

脳転移への薬物療法

血液脳関門というバリアがあるため、脳には薬物が届きづらくなっています。そのため脳転移には抗がん剤治療が効かないのが一般的な考え方でした。しかし、最近10年ほどの間に脳転移も有効な薬物療法の開発が進んで、事情が大きく変わっています。
脳転移に効果を示すことある薬物療法の例:

  • オシメルチニブ(タグリッソ)やアレクチニブ(アレセンサ)などの分子標的薬
  • T-DM1(カドサイラ)、T-Dxd(エンハーツ)の抗体薬物複合体
  • ニボルマブ(オプジーボ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)などの免疫チェックポイント薬

各領域の専門家の先生との議論を行いながら、薬物療法を組み合わせた、最適な方針を提案します。

受診、相談の方法(患者さん向け)

現在おかかりの施設で脳転移と診断され、専門的な治療が必要と判断された場合、当院で脳転移の診療をお受けできる場合がございます。ご担当の先生と当院での治療適否について話し合っていただき、ご了承が得られましたら紹介状をお受け取りの上当院の初診予約をお取りください。紹介元の先生のお見立てにより、手術が必要な可能性がある場合は脳神経外科に、放射線治療が必要な場合は放射線科(治療部)へのご紹介をおすすめしていますが、どちらにご紹介頂いても問題ありません。緊密に連携して、適切な治療を提案いたします。
上記以外の場合でも、セカンドオピニオンを受けていただくことができます。

ご紹介の方法(医療機関の先生向け)

脳神経外科、放射線科(治療部)のいずれかで初診をお受けしています。
紹介元の先生のお見立てにより、手術が必要な可能性がある場合は脳神経外科に、放射線治療が必要な場合は放射線科(治療部)へのご紹介をおすすめしていますが、判断が難しい場合はどちらにご紹介いただいても結構です。緊密に連携して適切な治療を検討いたします。
紹介先に迷われる場合、その他ご不明点がございましたら、医療連携部門もご活用ください

当院でお引き受けできるご病状

  • 主治医の先生からがんのご病状(進行状況、見通し)のご説明をお願いします。
  • ご自身で身の回りのことができるかどうか(KPS 60-70)が積極的な治療の適応の境界となります。
  • ストレッチャーでの移動が必要な場合等の全身状態では治療が難しいことが多いです。

ご提供いただきたい資料

  • 画像検査 最新の頭部画像に限らず、できるだけ全ての画像を提供ください。(体幹部の状況も治療方針決定の参考要素になります)
  • 原疾患の診療経過
  • 採血データ
  • 既往歴、併存疾患
  • 放射線治療既往があればその報告書等(特に頭頸部の放射線治療歴がある場合は照射範囲・線量がわかる情報提供をお願いします。)