泌尿器科医による一貫した全身治療
当科では、前立腺がん、腎がん、膀胱がん、腎盂尿管がんに対する全身治療を、手術同様に泌尿器科医が一貫して行っています。手術と薬物療法の両方に精通しているからこそ、患者さん一人ひとりの病状や全身状態をトータルに判断した「過不足のない最適な治療(集学的治療)」を提供できます。また、日進月歩で進化する薬物療法において、常に最新の知見を取り入れています。免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬など、保険適応のある最新の薬剤をいち早く導入し、治療の選択肢を広げています。さらには、全身治療に伴う副作用を適切に管理しながら、患者さんのQOLを最大限に維持し、安心して治療を継続できるようサポートしております。
現在実施している主な全身療法
腎がん
- 免疫療法(オプジーボⓇ、ヤーボイⓇ、キイトルーダⓇ)
- 分子標的薬(カボメティクスⓇ、レンビマⓇ、ヴォトリエントⓇ、インライタⓇ、ウェリレグⓇなど)
腎がんの治療においては、これらの薬剤を適切な時期、適切な組み合わせで使用していきます。
膀胱がん・腎盂・尿管がん
- 膀胱内注入療法(BCG、抗がん剤など)
再発のリスクが高い膀胱がんや、膀胱上皮内がんでは、BCG膀胱内注入療法等を行います。導入療法および維持療法ともに、外来で治療を行います。
また、BCG膀胱内注入が無効となった筋層非浸潤性膀胱がんに対して、アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療であるナドファラゲン治療を、主に入院にて行います。 - 化学療法(パドセブ®、ゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法、G-CBDCA療法、等)
- 免疫療法(キイトルーダ®、バベンチオ®、イミフィンジ®、オプジーボ®、等)
- FGFR阻害剤(バルバーサ®)
転移がある患者さんに最初に使う薬剤の組み合わせは、従来のゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法から、パドセブとキートルーダを組み合わせたEV-P療法に移り変わりました。3週間で1サイクルの治療となり、初回導入のみ入院で行い、以降は外来にて治療を行っていきます。その他、ご病状や治療時期に合わせた適切なレジメンを選択していきます。また、筋層浸潤性膀胱がんに対する術前補助療法としてゲムシタビン+シスプラチンにイミフィンジを組み合わせたGC-Durvalumab治療、局所進行性尿路上皮がん等に対する術前補助療法としてゲムシタビン+シスプラチン療法なども行っております。コンパニオン診断により、FGFR3遺伝子異常が確認された患者さんに対してはバルバーサ®も使用可能です。
前立腺がん
- ホルモン療法
前立腺がんに特徴的な全身療法です。男性ホルモンを抑える注射、もしくは精巣を摘出する手術に加えて、病状や進行具合に合わせて新規ホルモン剤(イクスタンジ®、ザイティガ®、アーリーダ®、ニュベクオ®など)や、その他の内服薬(抗男性ホルモン剤、副腎ステロイドなど)を併用します。転移のある前立腺がん患者さんがホルモン療法の対象となります。また、転移のない前立腺がんであっても、前立腺全摘除や放射線治療と併せて集学的治療の一環として行うこともあります。 - 化学療法(ドセタキセル・カバジタキセル)
一次ホルモン療法抵抗性となった去勢抵抗性前立腺がんに対し、抗がん剤(ドセタキセル、カバジタキセル)を点滴する治療を行います。原則としてドセタキセルとカバジタキセルの初回は入院で、2回目以降は外来で投与します。 - PARP阻害薬(リムパーザ®・ターゼナ®)
遺伝子検査にてBRCA1/2遺伝子変異の陽性が認められた患者さん(リムパーザ®・ターゼナ®)や、遺伝子変異の有無を問わず使用可能となった最新のPARP阻害薬(ターゼナ®)とホルモン療法の併用など、患者さんの状態に合わせたより精密な治療選択肢を提供しています。 - 核医学治療
従来の治療が困難となった転移性去勢抵抗性前立腺がんに対し、放射線科と連携して最新の「プルヴィクト」や「ゾーフィゴ」による治療も提供しております。当科にて全身状態をトータルに管理しながら、最適なタイミングでこれらの治療を組み込んでまいります。
転移のある前立腺がんに対するプルヴィクト治療(PSMA標的核医学治療)・前立腺癌骨転移のゾーフィゴ治療
最終更新日:2026年7月28日 腎泌尿器外科 伊藤将也

