歯科口腔外科

当科の基本方針

多摩地域における基幹総合病院歯科口腔外科としての役割を担っており近隣の20市の歯科医師会と医療連携を結び、診療所で治療困難な症例、難易度の高い症例などを紹介していただき治療を行っています。さらに近隣の病院歯科とも連携をはかり口腔がん症例を中心として高度二次医療機関の特色を生かしています。また近年需要の多い静脈内鎮静法、静脈麻酔科での歯科治療も歯科麻酔医管理下に行っています。

口腔がん初診患者数

2020年の未治療口腔がん患者

初診患者数・45人

外来初診患者数4520人に対して約1%でした。

平均年齢:71.4歳

最年少:36歳 最高齢:98歳

80歳以上 31.5%

85歳以上 14.4%

男性44名、女性32名

近年高齢者の進行がんが増加しています。

(注)わが国の人口動態:全国平均人口比率80歳以上8.7% 85歳以上4.5%

ステージ分類 

T分類

紹介元

医科・歯科診療所からの症例が約70%

病院歯科口腔外科(4施設)から20例

歯学部大学病院から3例

病院(病院歯科+大学病院)からは約30%

多職種連携による高齢者口腔がん治療例

来院時

【症例】81歳女性

【既往歴】73歳でパーキンソン病発症、骨粗鬆症第2腰椎圧迫骨折、高血圧症

【生活歴】弟と同居、要介護2、障害高齢者日常生活自立度ランクJ2

【症状および経過】

2カ月前に左側下顎臼歯部歯肉腫脹、疼痛あり紹介歯科医院を受診。左側第1大臼歯歯根破折に伴う膿性肉芽腫の診断により当科治療依頼。

パノラマX線写真にて下顎管に至る25mm程度の骨吸収破壊像、腐骨様硬組を認めます。歯肉癌疑いにて左側下顎第1大臼歯抜歯し肉芽組織を生検、結果は扁平上皮癌でした。左側下顎歯肉癌T4aN1M0

治療とその後

パーキンソン病にて当院通院中でした。左側下顎骨悪性腫瘍手術(下顎骨区域切除)、チタンプレート2枚を用いた硬性再建、口腔内欠損部は形成外科医にて遊離前大腿外側筋皮弁を移植再建しました。病期pT4aN1で術前診断と一致した結果であり術後機能回復訓練に専念できることになりました

経口摂取へ向けて言語聴覚士、理学療法士が摂食嚥下、発語リハビリおよび運動器リハビリを連日実施、患者本人も諦めず訓練に取りくみ術後30日目にゼリー食を摂食できるようなり43日目には経管栄養を離脱して3食経口摂取が可能となり67日目に自宅退院することができました。

口腔癌検診の取り組みについて

当科では2011年小金井市から、国分寺市、立川市の年1回の歯科検診時に口腔がん検診を併設(事前申し込み)し1-3名の口腔外科医が検診行う。3市とも行政がバックアップ、70-120名/市ほどの受診数がありました。

  • 地域基幹病院歯科口腔外科のスケールメリットを生かし口腔がん治療においてもセンターとしての役割を担っています。
  • 高齢者患者の進行がん患者が多く全身管理を必要とするため医科との協力体制は必須であり総合病院歯科のメリットであります。