悪性リンパ腫の早期発見のメリットと治療を解説します

悪性リンパ腫の早期発見のメリットと治療を解説します
~腫れ・しこりがあると言われたら~

1.悪性リンパ腫とは

悪性リンパ腫はリンパ球ががん化する病気で、首や腋(わき)の下、足の付け根などに「腫れ」や「しこり」があらわれます。体中の様々な場所もできます。

症状としては、リンパ節や臓器が腫れて痛みがないことが多いのが特徴です。症状は他に、全身症状(発熱、体重減少、寝汗)があります。

進行のスピードがゆっくりなものから速いものがあり、2週間以上持続したり大きくなってきたりする腫れ・しこりがあった場合、早めに受診をして調べることが大切です。

腫れ・しこりで血液内科を受診された場合、行う検査としては

<診断のための検査>

診察、血液検査、CT検査、PET/CT検査、腫れ・しこりの生検(取って病理で調べる検査)、骨髄検査を行います。

<病型>

悪性リンパ腫は多くのタイプに分かれますが、進行のスピードで、ゆっくり進むもの(年単位の進行)、やや早く進むもの(月単位の進行)、すごく早く進むもの(週単位の進行)に分けて考えます。

また細胞の種類によって、B細胞性、T/NK細胞性、ホジキンリンパ腫に分けられます。

これらの進行のスピード、細胞の種類によって治療が異なります。

病理組織分類(進行のスピード)
病理組織分類(細胞の種類)

2.早期発見のためには

もし悪性リンパ腫が体の表面のリンパ節などにできた場合、自分で触って疑うことが可能です。

時々自分の体を触ったり鏡で見たりして、どこかに腫れ・しこりがあった場合、理由のはっきりしない発熱、体重減少、寝汗などがあった場合は、かかりつけの先生や血液内科にご相談ください。

3.悪性リンパ腫の治療

悪性リンパ腫は治療の効果の高いことが多い病気です。リンパ球は全身にあるため、一部の限局している病期のものは放射線療法を行いますが、大部分のものは化学療法(抗がん剤治療)になります。

治療は進行のスピード、細胞のタイプによりいくつかの治療がありますが、大部分の治療は1~3日薬を投与し、その後は副作用の観察を行い、21~28日ごとに6~8回行います。当院では初回は入院で行い、2回目以降は外来通院で行うことがほとんどです。

ここでは、日本人に一番多い、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療の実際を書いていきます。

世界的に一番効果があると認められている標準的な治療はR-CHOP(アールチョップ)療法です。B細胞の表面にあるCD20に対する抗体であるリツキシマブ(R)の点滴、抗がん剤3種類(エンドキサン(C)、ドキソルビシン(H)、オンコビン(O))の点滴、プレドニン(P)の内服5日間を組み合わせた治療で、21日ごとに6~8回繰り返します。

注意する副作用は、治療の初期、治療から10~16日目、回復期で異なります。通常1回目は入院で、2回目以降は外来通院で行います。

悪性リンパ腫
DLBCLに対する治療
R-CHOP療法 主な副作用とその発現時期

4.Q&A

[1]痛くもないしこり、腫れなのに悪性リンパ腫なの?

リンパ節は様々な原因で腫れます。大きく感染性、腫瘍性に分けられます。腫瘍性は大部分の場合痛みがないのが特徴です。

経過・痛み・場所を表す表

[2]どうして胃や腸、乳房にできたのにがんではなく悪性リンパ腫なの?

リンパ管は全身血管のように張り巡らされて流れており、その要所がリンパ節です。そのためほぼ全身どの臓器にも、悪性リンパ腫がおきます。

がんを疑って手術や生検を行い、病理検査を行って、悪性リンパ腫だったということは比較的多くみられます。

リンパ節はリンパ管の要所

[3]治療は大変?家でできるの?

悪性リンパ腫の治療に書いたように、大部分の治療は1~3日薬を投与し、その後は副作用の観察を行い、21~28日ごとに6~8回行います。

当院では、大部分のタイプの場合は、1回目の治療を2~3週間程度入院で行い、副作用の管理ができると判断した場合は2回目以降、外来で通院治療室という専用の治療室で1クール21~28日の中で、1~3日点滴治療を行います。

そのため通院は1~3日間、21~28日毎になります。場合によっては短期入院で行うこともあります。

再発、末梢血幹細胞移植、CAR-T治療の場合は入院の治療の割合が高くなります。

[4]脱毛は?外見の変化は?

悪性リンパ腫の大部分の治療を行った場合、脱毛が生じることが多いです。脱毛は治療をはじめて2週間後頃に起こる方が多いです。コットンのキャップ、ウィッグ、帽子などを使用します。

治療が終了すればほぼ必ずきれいな髪の毛が生えてきます。院内にパンフレットを用意していますので、看護師にご相談ください。

爪も変色や変形、割れやすくなる、黒いスジが入るという変化が起こることも多いです。治療が終了したら新しい爪が生えてきますが、伸びるのに時間がかかるため、すっかり良くなるには半年から1年程度かかります。

割れないように気を付けて爪を切ること、マニキュアの使用が考えられます。院内にパンフレットを用意しています。看護師にご相談ください。

病気と戦って治療をしていくのに、自分がポジティブでいられるアピアランスは大切なことです。看護師、医師にお気軽にご相談ください。

5.執筆者紹介

本村 小百合(もとむら さゆり)

東京都立多摩北部医療センター 血液内科 部長

専門分野:血液悪性腫瘍学、臨床血液学

資格:日本血液学会認定専門医・指導医・評議員、日本がん治療認定医機構がん治療認定医・暫定教育医、日本内科学会認定総合内科専門医・指導医、日本老年医学会認定老年病専門医・指導医・代議員、Fellow of American College of Physicians、ICD、医学博士

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