血液型・輸血のお話

検査の内容と、検査時の注意などについて説明しています。

血液型とは?

血液型イメージ

人類にとって、血液型が何の役割を果たしているのかはまだよくわかってはおりませんが遺伝や輸血、法医学などの分野では大変重要です。

赤血球の血液型

赤血球の血液型は、ABO血液型、Rh血液型以外にもたくさんあります。現在おおよそ300種類の血液型が見つかっています。今回は、その中でも特に重要なABO血液型、Rh血液型について説明します。

ABO血液型
ABO血液型

ABO血液型は、A、Bという抗原から作られています。この抗原の組み合わせで、A型、B型、O型、AB型の四つに分けられます。赤血球にAがついているとA型、BがついているとB型、AとBの両方がついているとAB型です。O型はどちらも持っていません。また血清中には、自分が持っていない抗原(AやB)と反応する抗体(抗A、抗B)が存在します。

Rh(アールエイチ)血液型
ABO血液型

Rh(-)の人は、Dを持っていないという意味なのです。

Rh血液型は、ABO血液型の次に重要です。
Rh血液型には、C、c、D、E、eという5つの主な抗原があります。この中でも、Dが重要です。赤血球にDを持っている人をRh(+)、持っていない人をRh(-)と呼んでいます。Rh(-)の人は、日本人では0.5%と、実に200人に1人の割合です。


遺伝の不思議

親子の血液型

血液型は一定の法則によって子供に遺伝します。両親がいずれもO型ではないのに、O型の子供が生まれることがありますが、これは遺伝の学問上A型やB型はO型に対して優勢で、A型とB型の間には優劣はないという法則に関係しています。
A型やB型の人の中には、O型の遺伝子を持っている人がいるのです。もし、両親がともにこのO型遺伝子をもっているときには、この遺伝子だけをもらってO型の子供が生まれる可能性があります。


お母さん!採血は何回目?

お母さんのおなかの中

当院では、妊婦の方の不規則抗体検査を妊娠初期と中期の2回行っています。お母さんと赤ちゃんの血液型が合わないことで起きる副作用を早期に発見・治療するためです。


安全な輸血のために・・・・

輸血の準備は、患者さんと同じ血液型(ABO・Rh血液型)の血液製剤を選ぶだけではありません。
患者さんと同じ血液型の製剤を選んだ後、交差適合試験という検査を行っています。これは、輸血を受ける患者さん一人一人にあった(適合した)血液を選ぶための検査です。患者さんの血液と輸血する血液を試験管内で反応させ、適合しているかどうかを判定します。


輸血用血液について

わが国では、国民の善意による献血ですべてまかなわれています。

成分献血

以前は、輸血といえば血液の全成分をそのまま輸血していましたが、今は献血された血液を赤血球、血小板、血しょうなどに分け、患者さんが必要とする成分だけを献血しています。たとえば、貧血の患者さんは、血液のすべての成分が不足しているわけではないので、赤血球だけを輸血します。

赤血球

赤血球
貧血、手術の出血などに使われます。

血しょう

血しょう
止血に重要な働きをする「凝固因子」が含まれています。手術や病気でこの凝固因子が不足して、出血傾向にあるときにつかわれます。

血小板

血小板
手術や病気で血小板が減少した時に使われます。

あなたの血液型はなに型?

輸血パック

※輸血用血液の写真は、日本赤十字社医薬品情報ホームページより転載

献血された血液は、ABO血液型別に色分けされています。A型は黄色、O型は青色、B型は白色、AB型は赤色です。この色分けは全国共通です。

コンピューター管理

血液製剤にはそれぞれバーコードがついています。当院ではこのバーコードから製剤の情報(製剤の種類や血液型など)をコンピューターに読み取ります。輸血をする場合には、患者さんの血液型と輸血する血液の情報をコンピューターで照合しています。

自己血輸血

自己血輸血
自己血輸血は他の人の血液ではなく、自分の血液を用いる輸血方法です。輸血によるアレルギー反応や感染症などの副作用を防止できます。当院では緊急でない手術で条件があう場合には自己血輸血をおすすめしています。手術の数週間前から一週間に一回、輸血科にある自己血採血室で採血を行います。採血後の血液は患者さん毎に冷蔵庫で保管され、手術のときに使用します。

輸血機能評価認定(I&A)取得

I&Aとは、inspection(点検)してaccreditation(認証)するシステムです。
適切な輸血管理が行われているか第三者によって点検し安全を保証しています。