血管の老化と 新しいアンチエイジング 【前編】血管の老化は静かに進む── ~喫煙・食生活・高血圧がもたらす“見えない危機”~

血管の老化と新しいアンチエイジング

【前編】血管の老化は静かに進む──喫煙・食生活・高血圧がもたらす“見えない危機”

麻しん大流行

血管の老化とアンチエイジングについて、東京都立大塚病院 循環器内科 荒尾 正人 医長に聞きました。

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循環器内科| 東京都立大塚病院 | 東京都立病院機構(tmhp.jp)

国民の4人に1人が動脈硬化でなくなる現実

日本では、動脈硬化が原因となる病気(心疾患・脳血管疾患)で亡くなる人は、全死亡のおよそ 22〜23%、つまり約4〜5人に1人です。

さらに、日本生活習慣病予防協会によれば、「日本人のおよそ10人に1人は動脈硬化による心臓や脳の病気で亡くなる」とも示されています。

動脈硬化は、血管の内側にコレステロールや炎症物質が蓄積し、血管が硬く狭くなる病気です。

恐ろしいのは、自覚症状がほとんどないまま進行すること。 気づいたときには、脳梗塞や心筋梗塞といった重大な発作を起こすこともあります。

血管の最大の敵「喫煙」

喫煙の危険性については、以下のようにいわれています。

<喫煙による死亡リスクの増加>

  • 狭心症・心筋梗塞による死亡:3倍
  • 突然死:10倍
  • 脳卒中による死亡:3倍
  • 大動脈瘤による死亡:6倍

さらに、生活習慣病との組み合わせは極めて危険です。

「高血圧または高脂血症+喫煙」で2倍

「糖尿病+喫煙」で5.2倍

「糖尿病+高血圧+喫煙」で13倍

喫煙は、血管にとって“最悪の相乗効果”を生む行為なのです。

受動喫煙は”本人以上”に危険な場合も

受動喫煙による副流煙には主流煙より高濃度の有害物質が含まれていますので、喫煙者が同室にいるだけでも心筋梗塞や狭心症になりやすといわれています。

家族や職場の仲間の健康を守るためにも、禁煙は重要です。

禁煙後の体は驚くほど回復する

煙後の変化を時系列で示してみます。禁煙は、最も効果が大きく、最も費用対効果の高い健康投資です。

食生活の落とし穴ー塩分・プリン体・コレステロール

  • 塩分は“静かに血管を蝕む”
    日本人の平均塩分摂取量は12g。推奨は6g未満です。

    参考までに、代表的な外食に含まれる塩分量について参考までに示します。
    ラーメン1杯:7.0g
    ざるそば:4.3g
    カツ丼:3.5g
    コンビニ弁当:4g

    ラーメン1杯で1日の許容量を超えてしまいます。

<減塩するための工夫>

  • 「かける」より「つける」
  • 麺類の汁は残す(3g以上の減塩)
  • 加工食品を控える
  • 具だくさん味噌汁にする
  • 化学調味料に注意(グルタミン酸ナトリウム3g=塩分1g)
  • プリン体と尿酸値
    プリン体は、窒素を含む複素環式化合物の一種で、私たちの細胞の中に存在する成分です。プリン体は、DNAやRNAなどの核酸を構成する重要な要素であり、生命活動に不可欠な役割を果たしています。プリン体には、アデニンとグアニンの2種類があり、それぞれ異なる働きを担っています。

    私たちの体内では、プリン体は常に生成され、分解されています。プリン体は、古くなった細胞や食べ物から摂取されたものなど、様々な経路で供給されます。分解されたプリン体は、最終的に尿酸となり、腎臓から尿として体外に排出されます。このプリン体の代謝バランスが崩れると、健康に影響を及ぼす可能性があります。

    プリン体は、エネルギー代謝や細胞の成長、遺伝情報の伝達など、私たちの体の様々な機能に関わっています。プリン体は、細胞分裂やタンパク質の合成に不可欠なDNAやRNAの構成要素であり、体の成長と修復に重要な役割を果たしています。また、プリン体は、エネルギー通貨であるATP(アデノシン三リン酸)の構成要素でもあり、体の活動に必要なエネルギーを作り出すために利用されています。
    プリン体の多い食品として、鶏レバー、干物、白子などが挙げられています。

注目情報プリン体の接種に当たっての注意点

  • アルコールは、ビールをのぞきプリン体をそれほど大量に含むわけではないが、アルコールそのものが尿酸の産制亢進、排泄抑制作用をもち、尿酸値を上昇させる
  • 酒のつまみとしてプリン体を多く含むものを摂取しやすい
  • 鶏ガラスープ、ラーメンの汁にプリン体が多く含まれる
  • 痛風発作はなくとも動脈硬化、腎不全は進行する
  • 女性ホルモンには尿酸排泄促進作用があるため痛風は少ないが同じ尿酸値では女性の方が悪影響を受けやすい
  • コレステロールは“量より質”

    コレステロールは、人体にとって欠かすことのできない脂質の一種です。
    脂質にはこのほかに中性脂肪やリン脂質、脂肪酸などがありますが、その中でもコレステロールは特に重要な役割を果たしています。
    体内では主に肝臓で合成されており、一日におよそ1グラムがつくられ、体の中には100〜150グラムほどがあるとされています。

    コレステロールは細胞膜を構成する成分として不可欠であり、細胞の構造や機能を支えています。また、ホルモンや胆汁酸・ビタミンの合成にも利用されます。
    コレステロールは脂質なので、血液に溶けることができません。そのため、HDLやLDLといった「リポたんぱく」という粒子に含まれて、全身に運ばれます。

    しかし、コレステロール値が高い状態が継続されてしまうと様々な病気を誘引することになり、特に最初は自覚症状が感じられないことが多いです。
    自覚症状がないまま動脈硬化が進行し、動脈が細くなったりします。

    血液内の回収されないコレステロールが血管内にとどまり、やがてプラーク(粥腫)を形成し、さらに血管内が狭くなり血流が悪化します。このプラークが破裂し、血栓ができると、血流は完全に妨げられ、これが原因で心筋梗塞や脳梗塞などの致命的な病気を引き起こす可能性があります。

注目情報コレステロールに関する注意点

  • コレステロールを多く含む食べ物が必ずしもコレステロールを上昇させるとは限らず、極端な制限は逆に高コレステロール血症を惹起することもある。
  • 動物性脂肪と乳製品の脂肪に注意し菓子を多く食べない
  • 何より食べ過ぎないことが最も有効
  • 喫煙者は禁煙すること (HDL-Cの上昇)
  • 適度な運動をすること (HDL-Cの上昇)

コレステロールを多く含む食べ物が必ずしもコレステロールを上昇させるとは限りません。また、卵やエビを極端に避ける必要はありません。 むしろ注意すべきは、動物性脂肪や菓子類の摂りすぎといえます。

最終更新日:令和8年5月15日

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