子宮体がんについて
都立駒込病院 婦人科医長
森 繭代

子宮体がんは、女性の体の中でも「子宮の内側」にできるがんで、近年とても増えている病気です。特に更年期以降の女性に多く見られますが、早く見つけることができれば治療の効果が高く、決して恐れるだけの病気ではありません。この文章では、子宮体がんの特徴や症状、なぜ起こるのか、どのように予防できるのかなどを説明します。
1. 子宮体がんとはどんな病気?
子宮は、赤ちゃんを育てるための大切な臓器です。骨盤の中央に位置し、洋なしのような形をしています。その内側には「子宮内膜」という薄い膜があり、月経のたびに厚くなったり、はがれ落ちたりを繰り返しています。
子宮体がんは、この子宮内膜の細胞が異常に増えてしまい、がん細胞へと変化することで起こります。そのため「子宮内膜がん」と呼ばれることもあります。
日本では、子宮体がんと診断される人が 年間約1万人 にのぼり、10年前と比べると 約2倍に増加 しています。生活習慣の変化やホルモンバランスの影響など、さまざまな要因が関係していると考えられています。特に肥満の増加や晩婚化、出産年齢の上昇など、現代のライフスタイルが影響しているとされています。
2. 子宮の構造をやさしく理解しましょう
子宮は、中央に位置する「子宮体部」と、膣につながる「子宮頸部」に分かれています。
左右には卵巣と卵管があり、卵巣で作られた卵子が卵管を通って子宮へ運ばれます。
子宮内膜は、妊娠に備えて毎月厚くなり、妊娠しなかった場合には月経として体の外に排出されます。この内膜が異常に増殖し、がん化するのが子宮体がんです。
子宮の構造を理解しておくと、どこに病気が起こるのか、どのように検査をするのかがイメージしやすくなります。
3. どんな症状が出るの?
子宮体がんで最も多いサインは 不正出血 です。
特に、閉経後の出血はとても重要なサインです。
- 閉経したはずなのに出血があった
- 月経とは違うタイミングで出血した
- 少量の出血が何度か続く
- 茶色いおりものが増えた
こうした症状がある場合、「年齢のせい」「疲れのせい」と思ってしまう方も多いのですが、婦人科医は「閉経後の出血は必ず受診すべき症状」と強く呼びかけています。
また、進行してくると下腹部の痛みや違和感が出ることもありますが、早期の段階では痛みがないことがほとんどです。そのため、出血のサインを見逃さないことがとても大切です。
4. なぜ子宮体がんが起こるの?
子宮体がんの発症には、女性ホルモンのバランス が深く関係しています。
女性の体には
- エストロゲン
- プロゲステロン
という2つのホルモンがあり、これらがバランスを取りながら子宮内膜を調整しています。
しかし、エストロゲンが過剰になったり、プロゲステロンが不足したりすると、子宮内膜が厚くなりやすくなり、細胞が異常に増える原因になります。
さらに、以下のような要因もリスクを高めるとされています。
- 肥満(脂肪細胞がエストロゲンを作り出すため)
- 糖尿病
- 高血圧
- 妊娠・出産の経験がない
- 月経不順が続いている
- 閉経が遅い
これらの要因が重なると、子宮体がんのリスクが高まることがわかっています。
5. 子宮体がんはどれくらい多いの?
日本では、子宮体がんは年々増加しています。
特に40代後半から60代の女性に多く、閉経後の女性が中心です。
増加の背景には、
- 食生活の変化
- 運動不足
- 肥満の増加
- 晩婚化・出産年齢の上昇
など、現代社会のライフスタイルが影響していると考えられています。
6. 早期発見がとても大切です
子宮体がんは、早く見つけることができれば治りやすいがんです。
- 早期であれば手術で治る可能性が高い
- 進行してしまうと治療が複雑になる
- 不正出血の段階で受診すれば早期発見につながる
特に閉経後の出血は、患者さん自身が気づきやすいサインです。
「少しだけだから」「また止まったから」と様子を見ず、早めに受診することが大切です。
7. どんな検査をするの?
婦人科では、以下のような検査を行います。
- 内診
- 経腟超音波検査(エコー)
- 子宮内膜細胞診
- 子宮内膜組織診(より詳しい検査)
これらの検査は比較的短時間で行うことができ、痛みも大きくありません。
必要に応じてMRIやCTなどの画像検査を行うこともあります。
検査の流れを知っておくと、不安が軽くなります。
8. 予防のためにできること
子宮体がんを完全に防ぐことはできませんが、リスクを減らすことはできます。
- 定期的に婦人科検診を受ける
- 体重管理をする
- 適度な運動を続ける
- バランスの良い食事を心がける
- 不正出血があればすぐ受診する
特に肥満は大きなリスク因子のひとつです。
無理のない範囲で体重をコントロールすることが、予防につながります。
9. 不安を感じたら、ひとりで抱え込まないでください
婦人科の病気は、相談しづらいと感じる方も多いですが、医療スタッフは皆さんの不安に寄り添い、安心して検査や治療を受けられるようサポートします。
「こんな症状でも受診していいのかな」
「検査が怖い」
「誰に相談したらいいかわからない」
そんな気持ちを抱えたままにせず、気軽にご相談ください。
まとめ
子宮体がんは、早く見つけることができれば治療の効果が高い病気です。
閉経後の出血や、いつもと違う出血があったときは、早めに婦人科を受診することがとても大切です。
不安なことがあれば、医療スタッフに遠慮なく相談してください。
最終更新日:令和8年5月26日


