夏を元気に乗り切る食事 ~熱中症・夏バテを防ぐために
都立豊島病院 栄養科
夏の暑さが厳しくなると、体のだるさを感じたり食欲が落ちたりする「夏バテ」が増えます。
冷たい飲み物や軽い食事ばかりになりがちですが、実はそれが夏バテを招く原因になることもあります。
暑い季節を健康に過ごすために、夏を元気に乗り切るための食事のポイントを紹介します。
夏バテとは?
夏バテは、外は暑いけれど、室内は冷房が効いているなど温度差があったり、冷たいものを摂りすぎたり、睡眠不足、運動不足などが原因で、だるさや疲れやすさ、食欲不振、胃腸の不調などが現れた状態です。
夏バテを予防するには、適切な食事・適度な運動・十分な睡眠が大切です。
特に食事は、体のエネルギーを補い、体温調節や免疫力の維持に欠かせません。
夏の食事の落とし穴
暑い日が続くと、つい冷たい飲み物やアイスを多く摂りがちです。また、調理が面倒になり、そうめんなど簡単な料理が増えることもあります。食欲が落ちて食事量が減り、栄養バランスが崩れると、体力や筋肉量が低下します。 「食べやすいものだけ」ではなく、「体を整える栄養」を意識することが大切です。
食事の基本は1日3食
食事を抜くと、必要な栄養素や水分が不足しやすくなります。
1日3食をきちんととることで、体のリズムが整い、エネルギーを安定して補給できます。
特に朝食は、寝ている間に失われた水分や塩分を補う大切な時間です。
「朝は食欲がない」という方も、果物やヨーグルト、スープなど軽めのものから始めてみましょう。
主食・主菜・副菜をそろえる
毎食、主食・主菜・副菜をそろえることで、必要な栄養をバランスよく摂ることができます。
例えば、小鉢を追加したり、麺に具をのせたりするとバランスが整います。

そのほか、冷奴(湯豆腐)ゆで卵、温泉卵、魚の缶詰(ツナ・サバなど)、プチトマト、きゅうり、カット野菜、冷凍野菜など、手軽な食品を”プラスワン”するのもおすすめです。

水分と食塩のとり方
成人の1日の水分量の目安は約2.5Lです。
食事から約1L、体内で作られる水が約300mL、残りの1.2Lは飲み水から補います。
喉が渇く前に、コップ半分(100~150mL)程度をこまめに飲むのが理想です。起床後、食事中、入浴前後、就寝前など、タイミングを決めて補給しましょう。
飲み物は水や麦茶がおすすめです。冷たいものばかりでは胃腸の働きが弱まるため、常温や温かい飲み物も取り入れましょう。
スポーツドリンクは水分や食塩を補う飲料として便利ですが、500mLにスティックシュガー約10本分(約30g)の糖分が含まれています。飲みすぎには注意が必要です。
また、「夏だから食塩を多くとるべき」と思われがちですが、日本人は元々食塩が多い食事をしています。
いつも通り食事を摂れていれば、夏だからと食塩を増やす必要はありません。大量の汗をかく作業や運動をする場合のみ、食塩やミネラルを追加で補うようにしましょう。
特に、高血圧や心疾患で医師から減塩の食事療法が必要と指示がある場合は、夏も減塩を継続することが必要です。
食欲をアップする味付けの工夫
暑い時期は、酸味や香りを上手に使うと食欲がアップします。
- 酸味を利かせる
酢、レモン、梅干しなどでさっぱりした味付けにする
- スパイスや香味野菜を利用する
香辛料や香味野菜には胃液の分泌を促進し、食欲を増進させる働きがあります。
しょうが、みょうが、しそ、ねぎなどの香味野菜を活用する
こしょう、とうがらし、カレー粉などのスパイスで刺激を加える
食事量が減ったときの工夫
食欲が落ちて食事量が減ると、栄養不足や脱水症のリスクが高まります。
無理に3食にこだわらず、食べられる時に少しずつ食べ、こまめに水分補給を行ってください。
また、定期的に体重を測ることで、栄養状態を日頃から確認しておくことも大切です。
体重減少は低栄養を発見するための重要な指標となります。食欲低下や体重減少が続く場合は、早めに医師に相談しましょう。
まとめ
夏バテを防ぐためには、適切な食事・適度な運動・十分な睡眠が大切です。
- 1日3食をしっかり食べる
- 主食・主菜・副菜をそろえる
- 水やお茶でこまめに水分補給する
- 夏も食塩は摂りすぎず、減塩を心がける
- 酸味やスパイスで食欲アップを
- 定期的に体重測定をして、栄養状態を日頃から確認する
しっかり栄養をとって、暑い夏を元気に乗り切りましょう。
参考文献:環境省 熱中症環境保健マニュアル2022、日本高血圧学会 減塩栄養委員会HP
最終更新日:令和8年7月31日
(令和8年7月10日(金)開催した東京都立豊島病院「夏祭り公開講座」より)


