【公開講座ダイジェスト!】熱中症予防について(薬剤科からのおはなし)

残暑を安全に乗り切る「お薬と水分補給」の知恵──自己判断を避け、体を守る習慣を

豊島病院 薬剤科

まだまだ厳しい暑さが続く残暑の時期。日中の強い日差しだけでなく、家の中にいても熱中症のリスクは潜んでいます。
「室内で過ごしているから大丈夫」「いつもと同じ生活をしているから安心」と思っていても、高齢の方の体は知らず知らずのうちに暑さや水分不足の影響を受けています。

この時期を元気に過ごすために大切なのは、適切な「水分補給」と「快適な室内環境」、そして日頃から飲み慣れている「お薬との付き合い方」を改めて見直すことです。
東京都立豊島病院薬剤科がまとめた資料をもとに、残暑を安全に乗り切るためのポイントを整理しました。

 

水分補給は“量”より“こまめさ”──エアコンも上手に活用を

「熱中症にならないよう、水をたくさん飲まなければ」と思いがちですが、一気にガブガブ飲むのは心臓や腎臓に大きな負担がかかります。

  • 「ちびちび、こまめに」が鉄則
    一度に飲まず、コップ半分程度を数回に分けて飲みましょう。

  • カフェインの入っていない飲み物を
    コーヒーや緑茶は尿を出しやすくするため、日常の水分補給にはノンカフェインの麦茶やルイボスティーなどがおすすめです。

  • 室内環境を整える
    のどの渇きを感じにくくなる高齢の方は、知らず知らずのうちに室温が上がっていることもあります。エアコンや扇風機を我慢せず使い、室温を適切に保つことが大切です。

  • 持病がある方は医師の指示を守る
    心臓や腎臓の病気で水分制限がある方は、暑いからといって自己判断で飲む量を増やさず、必ず主治医に相談してください。

 

経口補水液(OS-1など)は“飲む点滴”──普段の飲み物ではありません

経口補水液は、脱水症状や熱中症の症状が出てから使う「治療用」の飲み物です。
塩分や糖分が多く含まれているため、予防のために毎日大量に飲むものではありません。特に塩分制限をしている方は、血圧上昇などのリスクがあるため注意が必要です。

 

飲み慣れた持病のお薬──勝手にやめるのは危険です

「汗をかくから」「脱水が怖いから」と、自己判断で利尿薬や血圧のお薬を飲むのをやめてしまう方がいます。
しかし、勝手にやめると持病が悪化し、かえって危険な状態になることがあります。

また、普段飲み慣れているお薬の中には、夏の体調に影響を与えるものもあります。

  • のどの渇きや汗を抑えてしまうお薬
    市販の風邪薬や鼻炎薬、胃腸薬などの中には、体に熱がこもりやすくなる成分が含まれているものがあります。

  • 腎臓への負担が増える組み合わせ
    痛み止め、血圧のお薬、利尿薬などを一緒に飲んでいるときに体が脱水状態になると、腎臓へ急激に負担がかかることがあります。

「なんだか体調がいつもと違う」「薬の飲み方に不安がある」と感じたら、絶対に二択(飲む・やめる)で自己判断せず、医師や薬剤師に相談してください。

 

見逃しやすい「高齢者の脱水サイン」

高齢の方は「喉が渇いた」と感じにくくなります。ご自身やご家族の様子で、以下のような変化がないかチェックしてみましょう。

  • なんとなく元気がない、やる気が出ない
  • 急にうとうとすることが増えた
  • 食事の量が減った
  • ここ数日で体重が1kg以上減った
  • おしっこの量が減った、色が濃い

これらは単なる「夏バテ」ではなく、脱水のサインかもしれません。

 

おわりに──身近な薬剤師にご相談ください

残暑を快適に過ごすためには、「こまめな水分補給」「エアコンでの室温調節」、そして「お薬の正しい理解」が欠かせません。

体調に変化があったときや、市販薬を買う際など、気になることがあればいつでも調剤薬局の薬剤師にお声がけください。
薬剤師は、皆さんが安全に夏を乗り切るための身近なパートナーです。

無理のない予防と正しくお薬を使う知識で、この残暑をすこやかに過ごしていきましょう。

 


(令和8年7月10日(金)開催 東京都立豊島病院「夏祭り公開講座」より)

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