
猛暑を安全に乗り切るために ──熱中症の予防と応急処置を考える
都立豊島病院 救急科 野田 彰浩
そもそも熱中症とは?
人は暑さに対して皮膚の血流を増やし、汗をかいて体内の熱を発散させます。塩分を含む汗を多くかいた後に水分・塩分を補給しないと、体のバランスが崩れ、めまい、失神、筋肉痛、頭痛、こむら返り、吐き気、倦怠感、けいれん、意識障害、高体温などの症状が出ます。 これが熱中症です。
どんな人がなりやすい?…普段通りでも熱中症を発症しやすくなります。
熱中症になりやすいリスクとしては、スポーツや肉体労働がありますが、それに加え、高齢者は普段の生活の中で起こる熱中症(非労作性熱中症)の頻度が高まります。一般的に高リスク要因として、高齢、独居、要介護、心疾患、糖尿病、がん、降圧薬・ 利尿薬・向精神薬の服用を必要とする持病のある方、エアコン未使用などが挙げられ、これに一つでも該当する方は、特に注意が必要です。

予防の基本…こまめな水分・塩分補給を!
屋内では、エアコンや扇風機を使用しブラインドやすだれで 直射日光を遮りましょう。 水分・塩分補給は熱中症予防の基本です。まずは、のどが渇く前にこまめな水分補給を心がけましょう。
(注)持病により水分・塩分や糖分に制限のある方は主治医に相談してください。

脱水になった後の対処には塩分を多く含む経口補水液(注1)が理想的です。スポーツドリンク(注2)でも代用可能です。
注1)経口補水液は塩分を多く含み、脱水状態ではないときに飲むと塩分の過剰摂取を招きかねません。日常の水分補給には適さないため、脱水の対処にのみ使用してください。
注2)スポーツドリンクは経口補水液よりも塩分が少なく糖分が多いので日常的に飲むと糖分を取り過ぎることがあるので注意が必要です。
小児の熱中症予防…子どもは早めの水分補給を!
乳幼児(小学校入学前)はのどの渇きを感じにくいため、のどが渇いていなくてもこまめな水分補給を促しましょう。小児では運動中だけでなく、開始前からの水分摂取が大切です。 気温や運動量により発汗量は変わるため、自由に水分がとれる環境を整えることが熱中症 予防につながります。


熱中症の応急処置…初期対応が命を守ります。
- 意識がおかしい、けいれんがある
すぐに救急車を要請し、涼しい場所へ移動、服を緩めて首・脇・太ももの付け根を冷やします。
呼びかけに反応が悪い場合は無理に水を飲ませないこと。 - 意識がしっかりしている
冷たい水分・塩分を補給し、改善しない場合はすみやかに医療機関へ。

日陰・冷房でしっかり対策を
熱中症は予防可能な疾患ですが、重症化すれば命に関わります。日頃から暑さを避ける工夫が大切です。
- 日陰の活用
- 帽子、日傘の使用
- 扇風機、エアコンの使用
- 冷房のある施設へ避難する
区市町村が指定するクーリングシェルター(外部リンク)など

予防と早期対応を大切に。
救急車を呼ぶか迷ったときは、#7119(消防の救急相談センター)に電話しましょう。

(令和8年7月10日(金)開催した東京都立豊島病院「夏祭り公開講座」より)


