2014年3月号 歯医者が怖い

2014.3月号

 今回は当科で行っている静脈内鎮静法についてのお話です。

 静脈内鎮静法は、何らかの理由でスムーズに歯科治療を受けることができない方に、向精神薬などを用いて治療しやすい状態をもたらしてくれます。当科では年間200件以上静脈内鎮静法での歯科治療を行っておりますが、その大部分を占めるのが、いわゆる歯科治療恐怖症の方です。歯科治療恐怖症といっても、その人その人によって差があり、‘麻酔の針がダメ’‘口の中に物を入れられるのがダメ’‘そもそも診療室に入るのがツライ’など様々です。いつでも逃げ出せるように、毎回カバンを抱え込んだまま治療を受けられる方もいます。

 そんな方にとって、静脈内鎮静法はまさに起死回生の一手といえます。特に当科で使用しているミダゾラム(R)という薬剤は催眠作用とともに前方性健忘作用があるので、治療中の嫌な記憶も忘れさせてくれるすぐれものです。歯科治療恐怖症の方のエピソードを聞くと、歯科治療が怖いのを我慢して頑張って通い続けた結果、我慢が限界に達し治療を受けられなくなってしまった方が多いようです。やはり我慢は体に悪いですね。また、‘歯科治療は苦手じゃないけど、親知らず抜くのはちょっと怖いなぁ’とか‘インプラントしたいけど手術が怖い’など外来での外科処置の際にも静脈内鎮静法は効果を発揮します。

 少しでも歯科治療が苦手であったり、侵襲が大きい治療を行う際には、是非当科の静脈内鎮静法を活用していただければと思います。主治医同伴で静脈内鎮静法のみ当科で管理する方法もとれますし、他にも笑気吸入鎮静法や全身麻酔での歯科治療も対応していますので、治療行為が難しいなと感じた際には御相談ください。

歯科コラム