2007年1月号 仕事も趣味もイメージが大切

2007.1月号

 50歳から本格的にゴルフを始めました。初ラウンドは30歳前でしたが、ろくに練習せずに回り、恥をかいてばかりいました。大学時代はラグビー、社会に出てからはテニスに熱中した立場からは、静的なゴルフはスポーツではないように思え、テニスボールより小さい玉は扱うまい、と思っていました。東京都の国保審査会に行くようになり、8年ほど前からコンペに駆り出されました。ハンデは36。ダブルボギーペースで回れれば、優勝できそうでしたが、結果は散々。悔しくてレッスンプロについて3ヶ月ほど教わりました。球筋がやや安定するようになりました。今度こそ!、と勇んで臨みましたが、肩に力が入って惨敗。ゴルフをナメていました。その後も優勝の本命に担ぎ上げられては期待を裏切る連続で、本命馬に騎乗する武豊の気持ちが分かります。本格的に始めて2年目に、初めて100を切りました。うれしくてスコアカードを抱いて寝ました。
 欲求不満解消に行ったはずのゴルフでフラストレーションを溜めて帰途につきます。他のスポーツであれば「相手が強かった」、「チームメイトがミスした」等と言い訳がききますが、ゴルフは全て自己責任。実に自虐的です。ちょっとした練習で、すぐにはスコアが良くなりません。コツコツと続ける練習が1年、2年後に効いてきます。奥が深いです。簡単に上達する底の浅いものは、すぐに飽きてしまうわけです。100回に1回出るような奇跡的なショットの夢を追い続け、今の自分にできる技で堅実なスコアメイクを心懸けることを忘れがちになります。イメージできるショットをすることが大切と知りました。
 臨床でもイメージは大切と思います。抜きたい歯がどのように植わっているかのイメージが狂うと、抜歯に手間取ります。無歯顎の歯槽堤を診て、適正な総義歯のおおよその形が、この頃やっと浮かんでくるようになりました。下歯槽管がどのように走っているかのイメージが掴めないまま行ったインプラントで、下口唇が麻痺したケースの相談を受けることが少なくありません。
 他のスポーツではハンデをもらって勝っても、あまりうれしくありませんが、ゴルフはいくらでもハンデをもらいたくなるのが不思議です。当科の市川医長は「ゴルフは練習あるのみ」派、まじめな長谷川医長がなぜか「ゴルフは道具、スコアは金で買えます」派です。私は両者の間を行ったり来たりしています。

歯科コラム