2004年7月号 閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に対する歯科的治療

2004.7月号

歯科口腔外科医長:市川 雄二

 今回は佐野部長に代わって「閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に対する歯科的治療について」紹介させていただきます。最近の新幹線停止業務のミス事件以来、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は日本のマスコミでも大きく取り上げられ、その診断と治療の必要性が社会的問題として益々高まってきております。

当院では平成15年12月より”いびき・無呼吸専門外来”が精神科土井部長を中心に開設されました。いろいろな臨床症状によりそれぞれ別の診療科に受診 することがあるSASの場合、病院の窓口の一本化はSASの早期の適切な診断、治療に大いに役立つものと期待されています。歯科口腔外科でも平成7年より、閉塞型無呼吸症候群(OSAS)に対する歯科的装置(スリープスプリント)の臨床応用を積み重ね、その有効性や適性条件も大部明らかになってきており、最近では当院でもOSASに対する治療として積極的に利用されることが多くなってきています(約50症例/年)。

また、本年度の歯科保険診療改正によって、OSASに対する歯科的無呼吸防止装置の保険診療導入が認められ、スリープスプリントの更なる普及が期待され ています。しかし、歯科での無呼吸防止装置の作成に当たっては、医科医療機関の診療情報に基づく作成要請が必要条件とされており、連携医科の先生方にも連 携歯科の先生方にもSAS患者様の診療情報提供をいただくことが、今後治療を進めるに当たって重要と思われます。

そこで当科では先生方に御紹介いただいたSASおよびSAS疑い患者様に適切な診断および治療を行うために、先ず、”いびき・無呼吸専門外来”を受診していただき、その後で必要に応じてスリープスプリントの作成を予定しております。また、連携歯科の先生方でスリープスプリント作成を予定されている場合は、当院の”いびき・無呼吸専門外来”を中心とした医科医療機関でのSAS診断の後、その治療要請を受けていただけるように取り計らいたく思います。 SASの診断、治療を通してさらに連携を深めていけますように今後ともよろしくお願いいたします。

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