2021年3月号 当科のCOVID-19感染症対策

2021.3月号
歯科口腔外科 齋藤浩人

 歯科は口腔内の唾液や血液に暴露する処置をすることから他科より様々な感染症のリスクにさらされています。歯科医院でここ数年導入されている感染対策機器のひとつに歯科用吸引装置(口腔外バキューム)があります。平成21年より施設基準の一つとしてあげられているため導入されている施設は多いと思いますが、この装置はCOVID-19の感染対策として役立っていると考えられます。
 口腔内バキュームのみ使用して歯の切削をした場合、患者の口腔レンサ球菌が術者のマスク・眼鏡、診療室の空気中から検出された一方で、口腔外バキュームを併用した場合の口腔レンサ球菌の検出は約9割減少したという報告1)があります。

 また、口腔外バキュームの位置は、患者の口に対し横よりも縦方向に配置1)した方がよく、口から10cm以内で使用した方がより効果的であったという報告2)があります。
 そのほか、当科のCOVID-19対策として追加された項目と言えば換気(窓開け)です。そのため診療室はいつもより寒いのでスタッフはインナーを1枚増やしたり防寒対策に苦労しています。
 原稿を書いている時点では2度目の緊急事態宣言が出され、当院はCOVID-19陽性患者に特化した体制を取り始めました。歯科口腔外科も入院、手術は休止、延期となり、外来診療のみ継続しています。連携医の先生方にはご迷惑をおかけいたしますが、なにかございましたら電話にてご連絡いただければ幸いです。

1)厚生労働省委託事業「歯科診療における院内感染対策に関する検証等事業」一般歯科診療時の院内感染対策に係る指針(第2版)
2)竹中彰治ら:洗口液を活用して、くちの健康や医院の感染管理を!. 日本歯科評論2021.81(1)、64-72

歯科コラム