2004年1月号 難治性の口唇症状

2004.1月号

 当院ホームページのご意見箱に藤本先生という方から要望が寄せられました。「城南地域外なのでホームページの歯科のコラムを愛読している。最近更新がなされない。連携医でなくても楽しみにしている者がいる。善処して欲しい」でした。早速更新されました!アクセスもパスワードが必要なくなり簡略化されました。(ホームページ→各部門紹介→歯科口腔外科→歯科のコラムです)
 藤本先生、ご要望ありがとうございました。なお、連携便りは02年5月から隔月の発行となり、コラムも同様です。ご了承下さい。
 コラムは医歯薬出版から来年中頃までには単行本になる予定です。最近、ゲラの初稿が手元に届きました。お見せできなかった症例写真や笑える挿し絵が満載で、楽しい読み物になりそうです。
 04年最初は慧眼の同僚、皮膚科の関根万里医長のお陰で目から鱗が落ちた話です。患者さんは中年の女性。主訴は唇のピリピリした疼痛でした。眠っているときは現れず、目が覚めると襲ってきます。どう見ても普通の唇です。症状は上下赤唇部に限局していました。発症以来3年、大学病院を含む複数の医療機関を受診していました。痛みは唇両側にあり、神経性のものではありません。何か異常が見つかればと血液検査を行いました。異常値はありません。考えつくような塗布薬、精神安定剤などは総て試されていました。対処法に行き詰まり、祈るような気持ちで皮膚科の関根医長に診察をお願いしました。
 先生からの回答です。「絶えず唇をなめる癖がある。唾液で濡れた唇が乾くにつれてピリピリ感を生じ、気になってさらに唇をなめる悪循環。癖を改めるよう 説得した。子供だと唇周囲の皮膚まで赤くなるのですぐ分かるが、大人の場合は分かりにくいことがある。」皮膚科から戻った患者さんを見ていると、なるほど頻回に唇をなめ回します。いくらクリームを塗っても効果がないはずです。
 また一皮むけました。

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