2025.11月号
歯科口腔外科
骨粗鬆症と口腔ケア
骨粗鬆症は、骨の脆弱性を引き起こす全身性の骨代謝疾患であり、超高齢社会を背景に、国内の患者数は1,280万人を超え、今後も増加が予想されています。この骨粗鬆症は、口腔にもさまざまな徴候をもたらします。とくにエストロゲンの減少により歯周病菌に対する抵抗力が低下し、歯肉の炎症が起こりやすくなります。また、顎骨や歯槽骨も骨密度の低下の影響を受けるため、歯の動揺や脱落のリスクが高まり、歯周病の進行が加速しやすくなると報告されています。すなわち、骨粗鬆症は歯周病の増悪因子であり、歯周病もまた骨粗鬆症の進行を促す要因となり得るのです。
さらに、65歳以上の転倒経験のない方1,763名を対象にした3年間の追跡調査1)では、歯が19本以下で義歯を使用していない方は、20本以上の歯が残存している方に比べて、3年後の転倒リスクが2.5倍高いことが明らかになっています。
つまり、歯の喪失は転倒・骨折・寝たきりのリスクを高める可能性があり、これを防ぐためには、正しい口腔ケアを身につけることが重要です。高齢化社会を力強く生き抜くための近道として、日々の口腔ケアの習慣化が求められます。
参考文献 1)山本龍生、歯科から考える転倒予防、日転倒予会誌5 (1)、23-25,2018
齋藤浩人

