つらさをやわらげる医療 ― 治療中から使える緩和ケアの話
東京都立荏原病院がんサポートチーム
緩和ケア内科医長 井原 世尊
がんの治療を続けていく中で、体だけでなく気持ちや生活がつらくなることがあります。
痛みや息苦しさ、吐き気、食事がとれない、眠れない、気持ちが沈む——こうした症状は、治療の副作用だけでなく、病気と向き合う心の負担から生じることもあります。
「緩和ケア」と聞くと、最期の医療というイメージを持つ方が少なくありません。
しかし、そのイメージは大きな誤解です。
■ 緩和ケアは“最期の医療”ではありません
緩和ケアは、治療が難しくなってから使うものではなく、治療中から使える医療です。
むしろ、つらさが強くなる前の「少し気になった時点」で相談することが大切です。
治療の副作用や体の痛み、気持ちのつらさを和らげることで、治療を続ける力を支える役割があります。
つまり、緩和ケアは「治療をあきらめる医療」ではなく、「治療を続けるための医療」なのです。
■ 緩和ケアは早いほど良い
緩和ケアは、病気の進行に関わらず、どの段階でも利用できます。
- 診断されたとき
- 治療中
- 副作用がつらいとき
- 治療が難しくなってきたとき
- 最期の時期
どの時期でも、体と心のつらさを和らげ、生活を支えることができます。
研究でも、専門チームが早期から関わることで、より良いケアにつながることが示されています。
非専門医だけでは対応が難しい場面もあり、緩和ケアの専門家が加わることで、より安心して治療を続けられるようになります。
■ 「これ、相談していいのかな?」と思ったら相談のタイミング
緩和ケアは、つらさを我慢する必要のない医療です。 次のようなことがあれば、遠慮せず相談してみてください。
- 痛みが取れない
- 薬が複雑で不安
- 気持ちがつらい
- 家族と話し合うのが難しい
- 生活がうまく回らない
まずは主治医や看護師に相談すれば、緩和ケア外来につないでくれます。
■ 緩和ケア外来とは?
緩和ケア外来は、緩和ケア専門医や認定看護師が体や心のつらさを専門的に整える場所です。
- 一度の相談でもOK
- 話だけでもOK
- 主治医と連携して進めるので安心
治療中のつらさを軽くし、生活を支えるための「より専門的な相談窓口」です。
■ まとめ
緩和ケアは、最期の医療ではありません。 治療中から使える、体と心のつらさを和らげる医療です。
つらさは我慢するものではなく、相談してよいものです。
「少し気になる」そのタイミングで、ぜひ相談してみてください。
あなたの治療と生活を支える力になります。
(2026年7月18日荏原病院公開講座「大腸がんと診断されたら」より)


